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「なーんか悔しいなぁ」
写真に目線を戻した佐久間くんがそっと言う。
表情は見たことないくらいに優しい、でもやっぱりなんか切なそう。
「こんな可愛く笑うんだ、俺見たことない。こうやって優しく笑うのも、思いっきり爆笑してるのも見たことないよ」
目黒くんと話してる写真と康二くんと爆笑してる写真を交互に見てる。
確かに佐久間くんと話してる時に私は笑ったことないかもしれない。陰キャの特徴なのか、思わず俯いたり感情が分かりにくい声色で話すから。
「まだ…仲良くなるのには時間がかかるのかな」
かがんでいた体制を戻して、また私を見た。
「俺の事、まだ怖い？」
「え…？」
「まぁ急に腕掴んで引っ張ったりしてる俺が悪いんだけどさ。よく怖い！って言ってたから。それなりに話せるようになったと思ったんだけど、まだまだかな？」
困ったように笑ってる。
怖い…？まぁ確かに急に現れるから良く言ってた気もするけど今この場で考えると分からなかった。
水曜日の体育館で鉢合わせたり、学食でご飯食べたり、阿部くんと話す中で話題になったりぇさすがに慣れてはいるかもしれない。怖くはない、と思う。
少しだけ見た佐久間くんのダンスは凄かったし、苦手な陽キャだと思えば素直でたまに何かを気づかせるようなことを言ったりだとか、何かと佐久間くんのイメージは変わっていた。
阿部くんとのことも相まって少しサークルも気になっている自分がいる。入りたいとはまだ思わないけど、あの人たちのダンスはどんなものなのか見てみたい。
「…怖い人じゃないのは分かったよ」
「そっかぁ、進歩はしてる？」
「進歩ってなに」
「うーん、俺との仲良し度？」
「…サークルに入れたいから？」
「それもそうだけど…その前に仲良くなりたい」
佐久間くんのいう仲良くなりたいっていうのはどんなものなんだろう。ていうか仲いいってなんだろう。一緒にご飯食べたりこうやって写真見たりしてるのは仲良くないんだろうか。
「Aちゃん！来てくれたんやね！」
そんな時に、後ろから康二君の声が聞こえて。
それに気づいた佐久間くんは俺そろそろ帰るね〜ってその場を去っていった。
「あら、お邪魔やった？建築のお友達？」
「いや…友達？なのか？」
佐久間くんは、何なんだろう。
「…どうや！いい感じやろ！」
「あ、うん！最後にこの写真飾るのがセンスいいなって」
「せやろ〜あえて最後にダサい格好なのがええよな！」
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2021年5月20日 2時
