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パシャ



「ん?え?」

「おー、バイト中とは違った真剣な表情!ええなぁ!」

「あ、わざわざ来なくてもよかったのに…」


木曜日の授業後。ここ数日凄い勢いで作り続けた結果、なんとか周りと同じくらいの段階まで進んだ。

今日も作業してるから準備できたら呼んでって言ってたのに。急にシャッター音が聞こえて振り向いたら康二くんがわざわざ建築棟まで来てくれていた。隣には目黒くん。

ほら、うちの学科の女子が見とれてるよお二人さん。


「不意打ちで作業してるとこ撮りたかったんよ。ええ顔してるで」

「すげぇ、建築だっけ。こんなん作ってんの」


カメラの画面を見て楽しそうにしてる康二くんと私のデスクに来て模型をまじまじと見つめてる目黒くん。そうか、目黒くんにはこの大学の見るもの全てが新鮮だもんね。


「面白いね、さすが芸大生」

「まだ途中だけど。他学科の実習棟行けばもっとすごいの何かしら飾ってあると思うよ。撮影がてら案内してあげたら、康二くん」

「後でゆっくりな〜俺2人の事撮りたくて仕方ないねん」


カメラを首から下げて早く行こうよとでも言うようにそわそわしてる。たまーに見かけはするものの、大学内で会う事はまずないから私服姿が新鮮。目黒くんもおしゃれで、むしろ私なんかより芸大生っぽい気がする。


「どこで撮るの?」

「まぁ本館やろな、購買前でも行こか」



建築棟を出て購買近くの共有スペースに向かった。空きコマがあるとここで暇つぶしたり、購買で買ったものを食べたりできるような場所。テーブルがいくつかあって日中は誰かしらがいる。



「じゃああそこに座ってもろて。それでお二人さん好きな飲み物なに?」

「飲み物?」

「なんかあったかいもの飲んで雑談してる感じが撮りたいねん。買ってくるから何がええ?撮らせてもらってるお礼に奢るわ!」
 

丸テーブルを指定した康二くん。
写真のビジョンができてるんだなぁと感心する。


「はいおまたせ。んじゃあ飲みながら普通に雑談してくれや!勝手に撮るから!」


少し離れてカメラを構えるのが見えた。
様になってるその姿はかっこいい。


「普通にって…改めて言われると分かんないわ。笑」

「ね、何話せばいんだろ」

「じゃあしりとりでもする?」

「え、急にしりとり?笑」

「だってそれくらいしか」

「あは、ここでしりとりする人見たことない」

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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年5月20日 2時

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