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「みっけたー!建築棟って広いんだね〜」

「え、え?ブロックしてない!」

「毎日はこないけど行かないとは言ってないよ?」



にゃははって笑うその人に出くわしたのは昼休み。
適当に購買でなんか買って済ませようと思って学科棟を出ようと歩いてたらまた腕を掴まれた。



「一緒に学食いこー、腹減った」

「いや勝手にどうぞ…」

「あれ、まさかお弁当派?」
 
「…たまに」

「今日は違うんだね、んじゃきまりー」

「わっ…いつも強引なんだって!」



バイトで余ったお惣菜をもらったりするからそれを詰め合わせて大学に持ってくることはある。しまった、今日朝起きるの遅くて持ってくるの諦めたんだ、頑張ればよかったと後悔。


「おごったげるから。珍しいよー?佐久間さんが奢るのは」

「なに?貢がれてもサークルは入んないよ」

「言い方。笑 だから仲良くなりたいの。仲良くなるのに一緒にご飯なんて定番中の定番でしょ」



一生懸命口ごたえするけれどこうやって腕を掴まれたらもう逃げられないってことはここ数週間で分かった。おごってくれるというので仕方ないか不服ながらも黙ってついていく。

そしたら珍しいねーおとなしいのってまた笑われた。
うるさいわ、誰のせいで!



「何食べるー?なんでもいいよー」


券売機にお金を入れてどうぞと促す佐久間くん。
心の中では高いの買ってやろうかって強気だけど、やっぱり同級生になんの意味もなく奢ってもらうのはちょっと気が引けて。でも今更断るのはあれなので一番安いうどんを押した。


「えー?それでいいの?まぁ美味しいけどねぇ」


その券を取って俺も麺系がいいなーってラーメンのボタンを押した。2人分の食券を持って学食のおばちゃんに差し出す。座ってていーよ、持ってくからって言われたけど。お盆2つはきつくない?って一緒に出てくるのを待った。



「ここの学食うまいよねー、俺メニュー制覇した」

「え、結構な種類なのに」

「ほぼ毎日学食だもん。コスパいいしコンビニとかで買うより意外と安上がりなのよ」



すぐ出てきたうどんを受け取って、佐久間くんと向かい合わせで座った。でもそもそもあまり知らない人と一対一でご飯なんてきつくて、何だか急に怖くなってきた私は目を合わせないように俯いた。

…食べるのに集中しよう。


いただきまーすって呑気に言う目の前の人にまたため息が溢れた。

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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年5月20日 2時

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