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「ていうかさ？そもそもあれどうやって作ってるの？」
カレー、おいしい。
変に味わって食べてたら既に食べ終わっている佐久間くんがそんな事を聞いた。
「え、切ったり貼ったり組み立てたり…」
「へぇー、結構原始的なんだね」
「気が遠くなるよ」
「そりゃあんなおっきいの作るの大変でしょ〜」
図面が出来るとかなり安心はするのだけど、実はそこからが気が遠かったりする。工作難易度MAX、みたいな。
「うん、しんどい」
「今日も作るの？」
「じゃないと間に合わない」
「見に行ってもいい？」
「……え？」
まだ全然進んでいない模型を思い出して暗い気分になっていると、佐久間くんは急にそんな事を言った。
何で？ひたすら人が切ったり貼ったりしてるとこ見て何になる。
「…何も面白くないよ、地味な作業してるだけだし」
「完成系だけ見るより過程も見た方ができたときの感動すごいじゃん。その人が頑張った後じゃなく頑張ってる所も見たいよ。凄いの作ってるならなおさら」
頑張ってる…
正直構想もまだはっきり出来てないから頑張る前の段階。ただ作り始めないと間に合わないからとりあえず土台を作ってる所で。ますます何も面白くない。
「まぁ…他の人もいるからあんま騒がないなら適当にくれば」
「じゃあ見に行こーっと」
佐久間くんは捨て台詞のような私の言葉にニカッと笑った。そして私がカレーを食べるのをただ見ている。食べ終わったなら戻ればいいのに。
その後、学科棟に戻った私はまだまだ白紙状態と言っていい程の模型土台とまたにらめっこ。周りを見ると着々と進めている同級生たちに焦りの気持ちが募る。作業スピードは速い方だと思うけど、思い浮かばないんならスピードも何もない。
普段なら形になっていく模型を見て修正したり変更したりしていく段階なんだろうけどそこにも行き着いてない。対決とかの前に提出遅れで減点かもしれない。
うんうん悩んで、でも何も思い浮かばなくて。とりあえず建物の形をつくるけどただの箱みたいなのができるだけ。不幸中の幸いなのが、阿部くんとは作業デスクが別の部屋なこと。相手の模型が出来上がっていくのが見えてたら焦ってしょうがないと思う。
授業としての制作時間も終わり、そんなのにも気づかずデスクで色々と考えていた。少しずつ部屋の人数が少なくなっていく中で、お昼にも聞いたあの声が届く。
「Aちゃーん！見に来たよ！」
うそ、もうそんな時間？
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2021年5月20日 2時
