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“これ見て早く風邪治しや”
風邪をひいてしまって大学を休んだある日。夜にそんなメッセージと一緒に数枚の写真が届いた。
片手にサンドイッチ、片手を口元に添えてもぐもぐしてる様子や、何をしているのか笑いながらもちょっと困ったように手を伸ばしていたりと素の表情が詰まった写真たち。
“いい写真だね”
“せやろ?特別にあげるわ”
“本人に許可取ってんの?笑”
“阿部ちゃんへのプレゼントやから許可はいらんのよ”
どういう理屈だよと思うのだけど。
こうやって彼女の写真が送られてきたのは初めてじゃなかった。康二は何かと彼女の写真を撮っては俺が写って無くてもプレゼントやらお裾分けやら言ってこう送ってくる。
その意図は何なのか、はたまた意図なんて無いのか。
“今度ツーショットも撮ったるな”
そしてやけに俺と彼女の写真を撮ることも。
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「……何で阿部くんが持ってるの」
「えぇ?康二が見て見て!って送ってきたから。笑」
正確に言うとそうではないんだけど。
彼女にあの時送られてきた写真を見せればちょっと不服顔。本当に許可取って無かったんだと内心苦笑いしつつ、あの日彼女から送られてきた康二の写真も見せれば徐に自分の携帯を取り出しその写真を表示させる。
ただ、その写真は俺が出したキメ顔ではなく撮られてるのに気づかず携帯を眺めている方。
「……康二くんは私たちの写真たくさん撮ってくれるけど、康二くんが写ってる写真ってその分少なくなっちゃうよね」
その写真を見つめながらそう言った彼女。
彼女はこの一年で康二とかなり仲良くなってくれたんだと思う。ただ授業的に少し俺と居る時間の方が長いのはちょっと申し訳ないなぁとも思うんだけど、俺も仲良くなったからこそ康二も彼女と接しやすくなっているはずで。
“PhotoBoy”と題したアルバムに俺の撮った康二の写真を入れて送る。すると彼女はスクロールしながら一枚一枚その写真を眺め始めて。
その中でもあの入学式の写真に目を止めた。
「だから入学までの間も連絡とってたし、入学式の日もずっと一緒にいたの。3年間の康二は俺が網羅してるよ、もっと欲しかったら言ってね?」
そう言った俺にいいよそんなと笑った彼女。でも、こっそりとその写真を保存していたのを見てこの子も康二の繊細な部分に少しずつ気づいてくれているのかなと。
そんなことを思いながらもう見慣れた彼の家に向かった。
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スノウ(プロフ) - いえいえ!全然大丈夫ですよ!そうなんですね!教えてくださりありがとうございます! (3月6日 23時) (レス) id: e7424004bc (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - スノウさん» スノウ様。ここをに顔を出さない日が続いておりまして、コメントに気づくのが遅くなってしまいすみません💦非公開作品に関しては再公開等は全て未定です。申し訳ないのですがご了承いただければと思います🙇♀️ (3月3日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - このお話には関係ないのですが、見えない世界の恋と魔法ってもう見れないですか?😢💦 (1月23日 0時) (レス) id: e7424004bc (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - takkimakkiさん» takkimakki様。お読みいただきありがとうございました。春はやはり少し寂しい季節でもありますよね、私もいつか素敵な気持ちで春を迎えたいなぁと思います。素敵な日々が過ごせるように願っております。ありがとうございました(^^) (2023年4月16日 18時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。様。お読みいただきありがとうございました。少しお返しが遅れてしまい、もう早いところは散ってる所もあるみたいですね。いい写真は撮れましたでしょうか?素敵な春になるように願っております(^^)ありがとうございました! (2023年4月16日 18時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2023年3月24日 3時