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「康二いると思ったんだけど、どこでご飯食べてんだろ」
「次の授業の場所とかは?」
「えー、わざわざ教室で食べる?てか俺もう取ってるのゼミと必修だけだけど。康二もそんなもんなんじゃないの?」
「あぁ、確かに」
二人で少しだけ空いている学食で慣れ親しんだ学食のご飯を食べる。4年生ともなればかなり取ってるコマ数は少なくなるだろう。阿部くんに至っては今期の必修を除けば卒業要件をもうクリアしてるそうで。私も今日は午後に一コマあるだけだし全休の日もある。
大学に来る日もどんどん少なくなっていくのか。なのに、今康二くんと一緒に居れてないことが悲しかった。
「Aちゃん?」
「……ん?」
「俺さぁ、何回かハメられてるのね」
「え?」
主語が無い言葉に首を傾げる。急に何を話し出すんだ。
「というか、Aちゃんもハメられてるんだと思うんだけど」
「……どういう事?」
「多分ねー、康二色々勘違いしてるんだよなぁ」
苦笑いしながらラーメンを啜る阿部くん。私は何を言っているのか全く分からない。
「たまにさ、三人でいる時康二がしれっといなくなってたりするじゃん」
「……あー…まぁ、分からなくもない、か?」
「勘違いと遠慮と恐怖と。康二って優しいからさ、色んなものが重なってあんなことになってるんだよね」
「待って、どういうこと?」
阿部くんは箸をおいてポケットから携帯を取り出した。そして私に画面を見せる。
“お似合いやで〜”
「ほんと、いつ撮ってるんだろうね?笑」
そこには一枚の写真と一言のメッセージ。廊下を並んで歩く阿部くんと私の写真だった。今日の服装、歩いてきた廊下。間違いなくさっきの写真。
「……えっと、私の予想合ってるかな」
「多分合ってると思うよ」
だから彼はあんなことを言ったのか。
惚れてくれるかも、だなんて。
「でも、これってどっちがと思ってるのかな」
「というと?」
そのトーク画面を彼に見せる。阿部くんはそれを見て苦笑い。
「多分どっちも?」
「だよね」
「まぁでも俺もAちゃんはすごくいい子だと思うし全然、悪い気はしないけど」
「その言葉そのままお返しします」
「あはは、まぁ確かにこんな感じなら勘違いされてもおかしくないかぁ」
「去年、授業ほぼ一緒だったしねぇ」
二人して苦笑い。変な空気にならないのはきっと阿部くんの広い器のおかげだ。
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スノウ(プロフ) - いえいえ!全然大丈夫ですよ!そうなんですね!教えてくださりありがとうございます! (3月6日 23時) (レス) id: e7424004bc (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - スノウさん» スノウ様。ここをに顔を出さない日が続いておりまして、コメントに気づくのが遅くなってしまいすみません💦非公開作品に関しては再公開等は全て未定です。申し訳ないのですがご了承いただければと思います🙇♀️ (3月3日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - このお話には関係ないのですが、見えない世界の恋と魔法ってもう見れないですか?😢💦 (1月23日 0時) (レス) id: e7424004bc (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - takkimakkiさん» takkimakki様。お読みいただきありがとうございました。春はやはり少し寂しい季節でもありますよね、私もいつか素敵な気持ちで春を迎えたいなぁと思います。素敵な日々が過ごせるように願っております。ありがとうございました(^^) (2023年4月16日 18時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。様。お読みいただきありがとうございました。少しお返しが遅れてしまい、もう早いところは散ってる所もあるみたいですね。いい写真は撮れましたでしょうか?素敵な春になるように願っております(^^)ありがとうございました! (2023年4月16日 18時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2023年3月24日 3時