・ ページ44
・
「わ、阿部ちゃん。大丈夫？」
「うん、もう全然楽。お腹空いちゃった」
昨日は1日中寝ていたものだから。目覚めたのはしっかり朝でなんならリビングには一番乗りだった。珍しくその次に降りてきた翔太に声をかけられて、朝ご飯前だけどきっと俺のためであろう冷蔵庫のゼリーを見せる。
「まぁまだちょっと平熱よりは高いんだけどね。今日は部屋にいるよ、移したら悪いし」
そのゼリーとスプーンを持ってリビングを出ようとする。すると翔太はそれぐらいここで食べなよと俺の背中を軽く押してソファに。俺も食べちゃっていいかなーと自分も冷蔵庫からゼリーを取った。
「いんじゃない、さすがに俺一人で食べれる量じゃないもん」
「だよね」
皆は俺を何日病人扱いするつもりなんだろうかと思うほどのゼリーの量だった。心配しすぎだとさっきそれを見て苦笑いしてしまったんだけど、優しい人たちばっかだなとその気持ちだけは受け取っておいた。
「知ってる？昨日ラウール来てたの」
「あ、そうなの？」
「うん、飯食いにおいでってふっかがさ。ちょっとだけ阿部ちゃんのお見舞いもしてったよ」
「そうなんだ…あとで連絡しなきゃな」
話を聞いてみればこのゼリーやら飲み物やらはめめとラウが買ってきてくれたらしい。多分俺は寝ていたから気づかなかったんだろう。
「あぁ翔太、薬ありがとね」
「うん。体調悪くなったらいつでも言って」
「薬剤師？笑」
「それなりに在庫はあるんで」
二人で同じゼリーを食べながら、何でもない雑談をして朝の時間を過ごす。そうしているうちに舘さんが起きてきて、さっそく朝ご飯作りに取り掛かるようだった。
「阿部、何か食べたいものある？」
「うーん、もう何でも食べれそうだからお任せでいいよ」
「そう？」
「舘様もありがとね、おかゆがあんな美味しくなるんだって俺びっくりしたよ」
数口しか食べれなくて申し訳なかったんだけど。そのおいしさにびっくりしたのは本当だ。さすが料理人。
「あー、俺がおかゆ食いたいかも」
「え？笑」
「確かに美味しそうだったんだよ」
「はは、じゃあ雑炊でも作ろうか」
翔太の一声で朝ご飯が決定。冷蔵庫の中身を物色し始める舘さんは「ゼリーすごいな」とちょっと邪魔そうにしていた。しばらくデザートの消費を頑張らないとなと思いながら、俺は一旦部屋へと戻ったのである。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1597人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽぷら(プロフ) - 美里さん» 美里様。お読みいただきありがとうございます！お返し遅れてすみません💦楽しんでいただけてるようでとっても嬉しいです。完結までよろしくお願いします(^^) (2023年3月31日 16時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - ayaさん» aya様。いつもありがとうございます！お返し遅れてすみません💦コメントしていただいた時よりだいぶお話が進んでますが楽しんでいただけてますでしょうか(^^)やっとこラストスパートですのでぜひ完結までよろしくお願いします！ (2023年3月31日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
美里(プロフ) - 既にずっと面白いですが更に面白い展開になってきてわくわくそわそわです！いつも楽しく読ませていただいてます(^^)これからも応援してます！！ (2023年2月18日 22時) (レス) @page36 id: aee62fe4fc (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回のお話ものめり込んで読んでいます！1人ずつ仲間になっていく感じも大好きです！ヒヤヒヤドキドキのシーンでおあずけ〜(°▽°)みんなどうか無事でー！！ (2023年2月12日 19時) (レス) @page17 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 萌葱さん» 萌葱様。コメントありがとうございます！引き続きお付き合いいただければ幸いです(^^) (2023年2月12日 15時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽぷら
| 作成日時：2023年2月7日 21時
