もしかしたら ページ28
・
「……おいしいなぁ」
「おかわりあるよ」
翌朝。涼太のみそ汁を啜ってしみじみと呟いたのは康二。俺の正直合ってるかどうか分からない説明を聞いて、さらにめめの強い説得でとりあえずゼロとして働く事を決めたようだ。
「だてさん、毎食作っとるん？」
「そうだね。基本外食するとか要らないって人の分以外は」
「大変やろ…この人数やと」
「元々レストラン勤めだったからね、一日中作ってる時に比べたら全然。むしろ好きに作れるから楽しかったりするし？」
俺もそれを啜る。相変わらず美味い。
「そうか……」
「何か食べたいものある？今日の夜にでも作ってあげるよ」
そう言われた康二は何を思ったのか一旦箸を置く。気にしないふりをしつつも、またみそ汁を啜りながら横目でそれを見た。
「……手伝うで」
「ん？」
「…しばらくしとらんから足手まといかもやけど、俺もそれなりに料理はしとったんよ。大変やろうから手伝わせてや。こんないいとこ住まわせてもらうんやし……」
様子を伺うように言った康二に涼太は微笑む。こんな率先して手伝うなんて言うのはこいつが初めてだ。だって、俺らに関しては多分マジで足手まといになるだけだから。
めめが言った通り、いい奴なんだろうな。
「そう？じゃあ夕方一緒に買い物付き合ってくれる？」
「…おん、何でもやる。やらせてください」
俺が押さえつけてた時はいっちょ前に離せ！だなんて言ってたのに、申し訳なさそうに頭を下げるもんだから。
「なぁ、康二って関西人？」
「え、そうやけど…」
「ふぅん、関西人ってもっと愉快でうるさいイメージなんだけどね。そんなかしこまってんの変な感じしないの？」
「……変な感じ？」
「多分そんなに固くならなくていいよって言いたいんだよ。ふっか、このくらいでいい？」
でっけーあくびをしてボサボサの頭でやってきたふっかの前にみそ汁を置きながら涼太が口を挟んでくる。そうよ、そういうことだよ。
「んあー、ありがと舘さん」
「阿部は？」
「ここにいないなら寝てるんじゃない？」
そういえば定位置に阿部ちゃんがいない。昨日遅かったのもあって全体的にゆっくり起きてきている俺たちだけど、阿部ちゃんがこの時間になっても起きてこないのは珍しい。
「ごちそうさま」
「翔太、阿部見て来てよ」
やっとくからと涼太が俺の皿を下げてくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1597人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽぷら(プロフ) - 美里さん» 美里様。お読みいただきありがとうございます！お返し遅れてすみません💦楽しんでいただけてるようでとっても嬉しいです。完結までよろしくお願いします(^^) (2023年3月31日 16時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - ayaさん» aya様。いつもありがとうございます！お返し遅れてすみません💦コメントしていただいた時よりだいぶお話が進んでますが楽しんでいただけてますでしょうか(^^)やっとこラストスパートですのでぜひ完結までよろしくお願いします！ (2023年3月31日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
美里(プロフ) - 既にずっと面白いですが更に面白い展開になってきてわくわくそわそわです！いつも楽しく読ませていただいてます(^^)これからも応援してます！！ (2023年2月18日 22時) (レス) @page36 id: aee62fe4fc (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回のお話ものめり込んで読んでいます！1人ずつ仲間になっていく感じも大好きです！ヒヤヒヤドキドキのシーンでおあずけ〜(°▽°)みんなどうか無事でー！！ (2023年2月12日 19時) (レス) @page17 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 萌葱さん» 萌葱様。コメントありがとうございます！引き続きお付き合いいただければ幸いです(^^) (2023年2月12日 15時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽぷら
| 作成日時：2023年2月7日 21時
