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「だーれも見てないから一番乗り。雨が上がって、雲が流れて太陽が出てくる。それを一番に見れるんよ。雨に降られ続けて、誰よりもびっしょびしょになったら一番に太陽に照らされる。やから俺、やっぱり最強やと思うねん」
最後まで聞いてもぶっとんだ理論だ。でも、何故か筋が通ってる気がしてしまって窓の外を見つめて話す康二から目が離せなくなる。
「中々こんなに降り続けることもないやんなぁ。太陽さんがびっしょびしょになって一番に見てくれる人待っとんのかなぁ」
「……なにそれ」
「あは、メルヘンやろ？」
「別に」
「俺と外出るか？太陽さんのこと見に行ってあげようや」
「バカじゃないの」
なぜ急に康二がこんなことを言ったのかなんて分からない。
「一緒に濡れるならAがええなって思っただけや」
でも康二の事だから元気づけようとかそんなところだろう。
「やだよ、お断り」
「えー、俺らの仲やーん」
「風邪引く」
「せやんな、そんで俺んちで二人まとめて寝かされんねん。なぜかAが風邪ひくと貰いがちなんよな。だいたいAママが迎えくる」
「いつの話」
「昔話」
「ごめんだよ、一緒に寝るとか」
「あはは、今は俺が帰らんとなぁ。この家に入り浸ってもうて」
もう康二もいつからこの家にいるんだろう。過ごしてる時間は自分の家より工場とこの家の方が長いだろうし、この家のキッチンに立ってる時間だって一番長い気がする。
「好きやからな、一緒に居るん」
その理由はこの工場で働いているだけではないらしい。
「今も昔もAがおらんと俺はダメなんよ、だから一緒に濡れるんならAやなぁって」
雨の話をしたのも、このためか。
“好きなら好き、大切なら大切って俺はAにちゃんと感じてもらえるまで伝え続ける”
ただ元気づけるためとかその程度じゃないんだと思い知った気がした。それと同時に申し訳なかった。康二が伝え続ける事を受け止めるほどのキャパが無かった。
雨を見ると嫌でも思い出す存在が。
失った存在が。
どうしても大きすぎる。
ねぇサクマ、君もやっぱり機械人形なんだね。
だって、私の両親の間で笑ってたあの機械人形と同じように。
サクマの笑顔も、私を捉えて離さない。
一緒だと思いたくなかったのに
同じように私を苦しめるじゃないか。
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ぽぷら(プロフ) - kokoaさん» kokoa様。コメントありがとうございます(^^)お返し遅れてすみません…楽しんでいただけてこちらも嬉しいです。移行先の4章でも佳境に入っていますので、引き続きよろしくお願いします！ (2023年1月8日 19時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
kokoa(プロフ) - 何様なんだって言われそうですけど、構成も言葉選びも表現力も全部大好きです。ここ数日すごく忙しかったのですが、その合間を縫ってでも読み進めたいほど素敵な作品で、後半は涙が止まりませんでした。この後も楽しみにしています！ (2023年1月1日 22時) (レス) id: 5cf1c692fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月17日 22時
