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「痩せたな」
そんなふっかの声が聞こえて、何だかこの人にはこんな姿見せたくなかったなと変な意地の気持ちが湧いてくる。普段好き勝手言い合ってるからか。
彼とは目を合わせたくない。少し眠気が薄れたけれどそんなのに気付かないふりをして目を瞑る。
「毎日見てても日に日に痩せてる気がしてるよ」
「まぁ無理もないだろうけどさ」
「これでもいい方、ちょっとだけ水飲んでくれるようになった」
兄とふっかは周りから見ても本人からしてもどこか気が合う同士らしい。今でこそしょっしゅう顔を合わせるわけじゃないけど連絡は頻繁に取り合ってるそう。
「照までぶっ倒れんじゃねえぞ」
「俺は平気だって」
「よく言うよ、ひでぇ顔してるし。Aの事になるといっつも血相変えて」
「こんなことが続いてたら当たり前だろ」
「普段からそうだから続いてる今心配してんの。持たねえじゃん」
私の事が大半らしいけど。
それにしては扱いも何もかも雑だと思ってた。
「……心配してんの、伝わってないみたいだけどな」
だから、少しずつ遠のく意識の中で聞こえたこの兄の呟きが引っかかったのだ。
「でも兄ちゃんだろ。正真正銘の」
「違うって言われそうだけどな」
「何言われても曲げんなよ」
「……ふっかに負けそうだわ」
「俺はこいつの指導者で兄ちゃんじゃねーもん」
指導者なんて言っちゃって。
指導されたことなんて……
「今阿部ちゃんが頑張ってるからさ」
「何となく聞いてる」
「多分今一番大変なのあいつ。ちょっと手伝ったんだけど、やばい」
「……有名な分、的になるのも仕方ないか」
「ただ“俺の子たちは絶対あんなことしない”って」
「そう思うよ」
「まぁ、だてさんもこっちについてるみたいだし」
「……だとして軍の人間どんだけいるって。一般人もいんのに」
「結構強いみたいよ？舘さん」
二人がこんな会話をしている頃にはもう私は眠りについていた。
この街には連日雨が降り続け、どしゃぶりの中でもうかなり少なくなった暴走中の機械人形がさまよっていたと。
あまり防水性に優れていない個体がひっそりと倒れていたり、危害を加えてはいないもののサクマと同じように誰かをかばって生命を失った亡骸が転がっていたり。
発展している国の中心部であるはずのこの街はそんな残酷な景色と共に
寂れて、雨の音しか聞こえていなかった。
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ぽぷら(プロフ) - kokoaさん» kokoa様。コメントありがとうございます(^^)お返し遅れてすみません…楽しんでいただけてこちらも嬉しいです。移行先の4章でも佳境に入っていますので、引き続きよろしくお願いします！ (2023年1月8日 19時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
kokoa(プロフ) - 何様なんだって言われそうですけど、構成も言葉選びも表現力も全部大好きです。ここ数日すごく忙しかったのですが、その合間を縫ってでも読み進めたいほど素敵な作品で、後半は涙が止まりませんでした。この後も楽しみにしています！ (2023年1月1日 22時) (レス) id: 5cf1c692fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月17日 22時
