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車に揺られている間。兄とサクマに挟まれてただぼーっと一点を見つめていた。疲れているのもあるし、かと言って不思議と眠くもならなかったから。
どのくらい寝たのかは外を見れば一目瞭然。もう辺りは真っ暗。運転席の康二と助手席の阿部ちゃん。そして隣の兄は絶えず何かしら雑談をしていたけれど、反対側のサクマは私の手をぎゅっと握って同じように黙っていた。多分私のことをずっと見て。
「なんか食べれそう？薬飲みたいしさ」
また車から兄のおんぶで家に帰った私はリビングのソファに沈む。食欲は無かったけど薬を飲むためだったら変に逆らうのも面倒だ。
「ちょっとなら」
「ん」
また私の頭を撫でた兄はキッチンへ。もう遅いからと康二は阿部ちゃんを車で送りに行ったらしい。
「おかゆでいい？」
「うん」
康二と私が夕飯を作るようになってからはこの時間に兄がキッチンに立つことはあまりなくなった。本当に私が体調を崩したか、1人でご飯を食べる時くらい。
幼い頃すぐダウンする私がいたからか。うちの家族はおかゆやうどんなどの優しいご飯はお手のもの。中々治らなかった時なんか絶妙な味編までしてくれていた程だ。
「ごめんね、サクマ」
隣に座るサクマはもうずっと心配そうな顔をして、いつもの笑顔は消えている。
「Aわるくない…」
私が謝罪の言葉を発すれば、それを潰してしまうようにぎゅっと抱きしめられる。身体がだるいのもあるけれど、それがやっぱり心地いいと思ってしまう私は抵抗せず。
むしろ自分から顔を埋めた。
私はその数分の間に寝てしまったらしい。しばらくしてサクマに揺られて起こされた私は兄が作ったお粥を数口食べて薬を飲む。
そして無駄なことは一切せずに自室へと向かい、一直線にベッドに潜り込んだ。
「おみず」
「あぁ、うん。ありがとう」
サクマは兄から託されたであろうペットボトルをサイドテーブルに置き、またいつものように私のお腹や頭を撫でる。
この歳になって誰かから寝かしつけられることが普通になったなんて。これから大丈夫なのだろうかと思いながらもやっぱり心地よくて安心してそれを振り払うことはない。
「サクマ」
「んー？」
「……サクマ」
「サクマいるよぉ」
ずっといてくれるよね。
機械人形が嫌いな私のそばに。
「……」
「サクマずっといるよぉ」
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ぽぷら(プロフ) - kokoaさん» kokoa様。コメントありがとうございます(^^)お返し遅れてすみません…楽しんでいただけてこちらも嬉しいです。移行先の4章でも佳境に入っていますので、引き続きよろしくお願いします！ (2023年1月8日 19時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
kokoa(プロフ) - 何様なんだって言われそうですけど、構成も言葉選びも表現力も全部大好きです。ここ数日すごく忙しかったのですが、その合間を縫ってでも読み進めたいほど素敵な作品で、後半は涙が止まりませんでした。この後も楽しみにしています！ (2023年1月1日 22時) (レス) id: 5cf1c692fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月17日 22時
