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「照の美味しそ、ねぇ一口ちょうだい」
「自分の食えよ！笑」
「いいじゃんちょっとくらいー」
そんなやりとりを横でしている兄と兄みたいだった人。やっぱり私といる時とは雰囲気が変わるなって、自分のご飯を黙々と食べながら思う。
特に阿部ちゃんに関してはこんなんだっけ？とちょっと自分の中の彼のイメージを疑うくらいだった。
同級生の感じを残しつつもどこか弟っぽいというか。
いや、この人の兄気質が強いだけか。
「はい」
「やった、ありがと」
兄の料理をお裾分けしてもらった阿部ちゃんはそれを口に入れると「うまっ！」ってオーバー気味にリアクション。それを見てちょっと嬉しそうな兄も何だかんだでこの人といるのが楽しいんだろう。
そんな中でふと思い出したのは彼の家でした昔話。
あのお菓子を半分私にあげようとして、でも康二にダメと言われ自分の分も差し出した。
私にあげようとした事、さらに康二に華を持たせた事。どちらも今ちょっと図々しく兄に何かを求めてる姿とは対になる行動で。
やはり私に対してはどこか兄のようなモードに切り替わるんだろうなと、頼まれてもいないのに彼を冷静に分析した。
「食べな」
そんな時隣の兄が何も言ってないのに一口分を私のお皿に置いた。
「え？あぁ、ありがと」
そういえば、兄は外食を始め自分と同じものを食べてる時以外は何も言わずに私に分け与えていたように思える。
兄はブレずに兄だ。
「はい、阿部ちゃん」
「あ、俺もいいのー？ありがと」
兄と阿部ちゃんに一口ずつ。私も自分の料理をあげた。
「お前貰ってばっかじゃん」
「ふふ、Aにはお返しするね」
「おい」
「うそうそ、照にもあげる」
何だか楽しそう。普段機械と向き合ってばっかの彼も、当たり前だけど人間なんだ。
自分の料理に目線を戻した時、一瞬見えた目の前のサクマ。
「サクマ？」
黙って兄と阿部ちゃんを見つめていて、何だか気になった私は声をかけた。
「なぁに？」
「ん、ううん。大丈夫？充電してこなかった？」
「サクマ元気だよ」
私に呼ばれればにこっと笑ってそう答える。ちょっとだけいつもと違う顔をしていたのは私の気のせいだろうか。
「おいしい？」
「……うん」
「よかったねぇ」
少しだけ想像してみた。サクマも一緒に私たちとご飯を食べている事を。よかったね、じゃなくて。おいしいねって、彼が言ってるところを。
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ぽぷら(プロフ) - kokoaさん» kokoa様。コメントありがとうございます(^^)お返し遅れてすみません…楽しんでいただけてこちらも嬉しいです。移行先の4章でも佳境に入っていますので、引き続きよろしくお願いします！ (2023年1月8日 19時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
kokoa(プロフ) - 何様なんだって言われそうですけど、構成も言葉選びも表現力も全部大好きです。ここ数日すごく忙しかったのですが、その合間を縫ってでも読み進めたいほど素敵な作品で、後半は涙が止まりませんでした。この後も楽しみにしています！ (2023年1月1日 22時) (レス) id: 5cf1c692fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月17日 22時
