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「……あ、あれ」
パッと目を開けた。
視界に入ったのはテレビの画面。
「おはよぉ」
自分が体重をかけている何かから声が聞こえる。顔を上げると微笑むサクマがいた。
「え、寝てた…？ご、ごめんサクマ、出かけるって言ったのに」
慌てて時計を見ると最後それを見た時から1時間ほどが経っていた。思ったよりも時間が経っていないことにホッとするも、サクマが肩にもたれる私をずっとこの態勢で待っていたのかと思うと申し訳なく感じる。
「んふふ」
「え、何笑ってんの」
「かわいい〜」
は？
「……機械人形に可愛いって言われるってどうなの」
「ねてるの、かわいー」
普通なら男性に可愛いと言われたらたとえ恋人とかそういう人じゃなくてもどこかドギマギするものだと思うんだけど。何だかサクマにそう言われるのは変な感じがする。
そもそも男性…？いや、機械人形といえど性別はどちらかに設定しているだろうし間違いなくサクマは男性の人形ではあるんだろうけど。
「……主人をからかわないでくださーい」
反応に困るな、照れるとかじゃなく普通に困る。
「ほら、外でよ。散歩散歩」
立ち上がって佐久間を見下ろすと何やらニコニコと私を見るだけ。それがどこか含みを持たせているというか…‥何というか……
「サクマくん？キミ最近言うこと聞かなかったり私をからかったり悪い子になってきたな？」
「にゃー！やだぁ！ははは！やめてぇ！」
この子最近調子に乗ってきたな。思いっきり全身をくすぐってやった。
ドМなのかと疑うほどに体を捩りながらも楽しそうに笑う姿は本当に人間のようだった。
くすぐって、つられて笑って。ひーひー言ってるサクマを見ながらなぜか心のどこかで冷静に、第三者目線でその光景を見ている自分がいる事に気付く。
傍から見れば、ただじゃれてる人間同士。
サクマがいくつくらいに設定されていて私がいくつに見られているのかは未だに分からない。けどここまで仲がよさそうな二人だったら歳も近くて気を許せる関係なんだろう。
そんな事を思った時、“機械人形が嫌い”な私がここまで彼に慣れ親しんでしまっている事に違和感を覚えて。
「っはー、Aやぁだ！」
いひひ、って笑いながらぐいっと両手を引っ張って私をホールドしたサクマ。
「もうだめ！…んふふ」
「ふふ」
サクマが、人間だったらよかったのに。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
