言うこと聞かなくなってきた ページ42
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「おはよー」
カーテンから漏れる日差しで目を覚ます。
じゃなくて
「……さくまぁ？」
「うん、サクマ」
彼の存在を感じて目を覚ます。
自室のベッドの上、頭を撫でられている感覚が私を眠りから目覚めさせた。
ゆっくりと上半身を起こして息をを吸う、そして吐く。窓の方を見るとしっかりと朝日が昇っている。外はとてつもなくいい天気だった。
「……サクマ」
「んー？」
「今日何しよっか」
このくらいのダルさならいつもはもう一度ベッドに体を倒して再び眠りに入るだろう。そしてのそのそと起きてふらっと天文台に行ってふっかの手伝いをするか、家の事をやったり買い物したりするんだろう。
「んー」
少し口を尖らせて考え始めるサクマ。その表情が素直に可愛らしくて自分は口角が上がる。
「しゃぼんだまー」
「また？」
「あ、ふっかのところー」
「昨日も行ったのに」
「あー！あべちゃん！」
「それも」
サクマはやっぱり最近作られたばかりの機械人形だ。レパートリーの少ない提案を元気にする彼の様子に面白くなって笑ってしまう。
「えへへ」
「何笑ってんの」
そしてサクマも笑う。
「そうだなぁ、とりあえず外出てみようか」
私は二度寝をせずにベッドから出る。
「まってー」
そのまま部屋を出ようとすると背後から聞こえた声。
「うわっ」
「んふふ」
後ろから抱き着いてきたのは当たり前にサクマだ。
「サクマー？なあに」
「ぎゅー」
あったかいその身体は私を逃がさまいと強い力で包む。声をかけても弱めることはなく、私の肩にぐりぐりと頭を押し付けるサクマはもう
私に“甘えている”他の何ものでもなかった。
「はいはい、どしたの」
強い力の中で何とか身体を反転させてサクマの背中に腕を回す。ぽんぽんと叩いてやるとまた嬉しそうな声を漏らした。
「そろそろ離そう。ほら、お出かけ」
「お出かけー」
「うん」
「うれしー」
「うん、だから離そ？」
「んふふ、やだー」
段々言う事聞かなくなってきたな。また腕に力を込めたサクマに呆れつつも、彼自身の“自我”を感じてどこか嬉しかった。
「……機械人形って効くのかな」
「わあっ、あははは！やだー！やめてー！」
「効くんだ」
そんなサクマの横腹あたりをこちょがしてみた。すると彼は途端に身体を捩って私をいとも簡単に離した。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
