何してん？ ページ36
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そんなやりとりをしているとまた玄関が開く音がする。話し声が聞こえてきてあぁもう勘弁してくれと。
こんな状況で康二と顔を合わせるなんて。
「……えっと」
話し声が近づいてきてガチャっとリビングの扉が開く。そして数秒静かになった後に聞こえた康二の戸惑う声。
「さ、サクマぁ！離してぇ……」
「んふ」
情けない声でもう一度訴えた。するとサクマはやっとそれに対して声を発したかと思ったら
「サクマねーA大好きだからぎゅーしてたー」
そう言って、パッと私を離したのだ。
「わっ、」
急に離されたもんだから抵抗してた反動でよろめいてしまう。そして踏ん張りきれずに軽く後ろに倒れた私はサクマではない誰かに受け止められた。
「……ぷっ、何してん？」
私の肩を支えていたのは康二で。今までのこの光景に我慢できなかったのか私を見て吹き出した。
「ふぇっ！？あ、えと……」
「ひかるー」
「あ、ちょ、サクマ！！」
ことの発端であるサクマは急に私からふいっと目を背けてどこかに行った兄を追いかけて行った。
「……何なの…あいつ…」
後で説教してやろうか。
「くくく、待ってーや。何のコントやねん、めっちゃおもろかってんけど」
「あっ、ご、ごめん！」
ハッとして康二の元から離れて振り返る。そこには笑いを堪えてる康二と、よく分からないけど微笑んでる涼太くんがいて
「何なん？ラブラブしてる思たらAジタバタしとるしさっくん見事なタイミングで離すやん、俺おらんかったらAぶっ倒れてたで？ナイスタイミングやなぁ」
我慢できなくなったのかあはは！と笑い出した康二。それだけあの光景が滑稽でみっともなかったんだろう。顔が熱くなる気がした。
「サクマ…ゆるさない…」
私が小声で呟いた言葉も聞こえたらしい。さらに笑い出した康二は「はー、おもろい」と涙を拭っている。
そんな姿に恥ずかしさを感じつつむくれていると、康二の少し後ろで佇んでいた涼太くんが私を見てこくりと頷いた。
「え…？」
思わず反応すると唇に手を当てて「しー」って。そのまま私に向かって口パクで
『なかよくね』
そしてスッとその場から抜けてどこかへ消えていった。
「A」「康二」
「「あっ……」」
その背中を見送って、振り向きざまに声をかけたのは
「…ふふ、おかえりやで」
「…うん」
お互い様だったみたいだ
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
