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「多分いるけど…康二いるか分かんないよ？」
「それならそれで。照には会えるでしょ？」
3人で阿部ちゃんの家を出た私たち。一緒に来た涼太くんはスマートにスーパーのカゴを持ってくれて一緒に買い物の手伝いまでしてくれるよう。
何作ろうかなぁと食材たちを眺めながら、初めてきた場所にキョロキョロしているサクマがどこかにぶつかったりしないだろうかと少しヒヤヒヤする。
「この子、面白いね」
「まぁ…好奇心は人一倍」
「改めてだけど、よくできてるねぇ。阿部もすごいな」
「怖いくらいだよ」
何かしらには使えるであろう玉ねぎを手に取って涼太くんが持つかごに入れた。そして隣にあったピーマンを見て康二が好きなものでも作ってあげようかとそれも入れる。
「阿部とはよく会ってるの？」
「いや、サクマができる前はしばらく会ってなかったよ。用もないし」
次は牛肉かなぁと肉のコーナーへと移動。サクマは相変わらず周りをキョロキョロしすぎてワンテンポ遅れてついてくる。
「そっか」
「涼太くんもしばらくみんなと会ってなかったでしょ？」
「そうだね、連絡はしてたけど」
牛肉を入れて次はタケノコ。どこにあるかな〜と周りを見渡すと同時に危なっかしいサクマが視界に入って苦笑い。
「……サクマ、ちゃんと着いてきてね」
「ん？」
私が声をかけると理解してくれたのか素直に私の横に来た。安心して移動しようとすると何の前触れもなく急に片手を掴まれて
「ついてく」
そのまま手を繋がれる。
「……迷子になられるよりいいか」
小さな子供を持つ親の気持ちってこんな感じなのだろうか。それにしてはだいぶ大きい子供だけど。
「ふふ、可愛いね」
「片腕が重いよ」
その様子を見て微笑んだ涼太くんは「タケノコ多分あっちだよ」と歩き出す。康二の好物は何故かみんな把握済みだ。
「軍では料理できるの？」
「してるしてる。まぁ食堂が一般的だけどそれぞれの部屋に簡単なキッチンもあるしね」
「そっか、料理上手だもんね」
もっとガチガチに生活リズムが制限されてるかと思っていた。意外と軍の生活も自由度が高いようで。
「だからタケノコの場所だって分かるし」
「なるほど、今日作るのお願いしたいくらいだなぁ」
「はは、一緒に作る？」
2人も久々に会えたら嬉しいだろうし。片手がホカホカしている中で涼太くんとの何でもない話が心地よかった。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
