おかいもの ページ29
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「ついでに聞きたいんだけどさ」
「ん？」
「……サクマってエスパー？」
「え？」
「いや……その、」
ぽかんとした阿部ちゃんの表情に変なことを聞いたと一瞬で思い直した。そもそもエスパーの機能なんぞつけれるはずがない。そんな技術を阿部ちゃんが持ってたとしたらいよいよ本当に恐ろしい。
「ふっ…なに？サクマエスパーなの？笑」
「い、いや！なんでもない…」
「ちょっと俺はそんな子にした覚えはないなぁ、サクマが自力で取得した？」
おかしそうに笑ってそう答える阿部ちゃん。何だか恥ずかしくなって顔を俯かせたらさっき離れたばかりなのにサクマがまた抱き着いてきた。
「でも」
心配性が過ぎるなと思ってサクマを見上げた時
「……サクマって、不思議なとこあるよねぇ」
阿部ちゃんが妙に声のトーンを落ち着かせて言うものだから。目線をまた彼に戻すとさっきまでの悪戯な笑みとは違う神妙な面ちでサクマをじっと見つめていた。
「Aー」
「あ、うん、なに？」
「あのね」
「うん？」
「ひかるがねーかいものしてきてーって」
「……はい？」
変に流れた沈黙を破ったのは相変わらず私に抱きつくサクマで。
「買い物…？」
「ごはん」
「ごはん…の、買い物？」
「うん！」
「…えっ、まさか…いやそんなわけないか」
今度はテレパシーでも感じ取ったのだろうかと思ったけどそもそも兄が飛ばせないと意味が無い。いやそもそもその思考になるのがおかしい。
「…お兄ちゃんが言ってたの？」
「帰りにーかいものーって」
単に兄はサクマを伝言係にしただけらしい。
「あぁ、うん。わかった」
離そうか、と私のおなかのあたりで回されている腕を解いてサクマの中から抜けた。来たばかりな気もするけど今日は自分が夕飯係なのを悟った私はお暇しようと2人の方を向いた。
「じゃあ…私帰るね。どこかいじりたい所とかもうない？」
いじるという自分が発した言葉でさえも彼は機械なんだなと一瞬でまた変な気持ちになる。人間に勝手に作られた存在である、私の機械人形。
「ううん、大丈夫。なんかあったらまたおいで」
その制作した本人はいつも通り優しい声で言った。
「あ、俺もそろそろ出ようかな」
「そう？俺今日もうすることないし居てもらってもいいけど」
「照と康二に会いに行こうかなと思ってさ」
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
