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そんな解説を聞いたサクマはもちろん理解なんてしていない様子。ふっかを見つめつつもポカンとしている。それもそのはず、私もよく分かってない。


「……つまり?」

「はは、難しいか」


ふっかはちょいちょいと手招きをして書斎の上でペンを走らせる。さっき空中に描いたように四角を描くと、その中に射手座の並びでいくつか点を描いた。


「この紙全体が空。そんでこの四角が射手座っていう空の領域、そして射手座の中にいくつかの星がある。ただそれだけの話よ」


一度描いた四角をまたなぞる。そして「いてざ」と二重になった四角のそばに書いた。



「ぶっちゃけその中にある星を結んだり絵のように表してるのは単にプラネタリウムとか星座表で分かりやすく表記するためだけであって、実際星を結ばなきゃいけないものでもないし、結ぶとしても必ずしもそう結ばなきゃいけないわけじゃない」


ふっかは射手座の星たちを本来とは全く違うでたらめな結び方で線を引いていく。出来上がったものは訳の分からない、ただ点と点が結ばれた図。


「これでも射手座。この“領域”が射手座だから中身はなんでもいいのよ」


ふっかはそこまで言うとペンを置き、頬杖をついて私を見上げた。


「……なんでもいいってそんな、この絵が世界で普及してるのに」

「はは、確かになんでもいいは言い過ぎかぁ。ま、この領域の分け方も昔の人が描いた星の並びをもとにして定められてるらしいから、ある程度絵としての見え方も考慮はされてると思うけどねぇ」


また星座表に目を向けた彼。あの星座表には当たり前にケンタウルスに見えうるような一般的な結び方で射手座が描かれている。


「ど?勉強になったろ」

「……なんか急に研究者っぽいね」

「別に俺が定めたわけじゃねーしひとつの知識として天文学者には必須項目だっつーの。頭に入れときな」


そう言ってまた作業に戻ったふっか。ちらっと扱ってる資料を覗き見すると、その内容は私にはとても理解が出来なそうだった。

私が知っている知識なんて、多分まだちっぽけでしかないんだろう。



「サクマ」


早々に理解を諦めたのかサクマは解説なんて聞かずに星座表の前からもいなくなっていた。昼間だから見えないだろうに、一生懸命望遠鏡をのぞいている。


「みえなーい」

「まだ明るいから」


外れっぱなしだったレンズキャップを閉めた。サクマは急に暗くなったのであろう視界にびっくりして、レンズから目を離した。

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作品ジャンル:SF
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2022年12月2日 0時

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