分かりたくない ページ20
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ぴーんぽーん
ドタドタドタ
チャイムの音で目が覚めて廊下を誰かが歩く音で身体を起こした。見渡しても昨晩からの景色と変わらない、やっぱり窓がないと病みそう。
あくびをして昨日の記憶を頼りに時計の位置に顔を向けるとちゃんと次の日、そして朝。何なら昼。昼っぽくない、やっぱ病みそう。
そのままぼーっとテーブルライトの灯りを眺めて、眠気が飛び切っていないことに気づいた私は素直にぼふっとベッドに身体を投げた。
「サクマ、大丈夫かなぁ……」
………
……………
ドタドタドタ………
がちゃ
「ほら」
「あー寝てるー」
また夢の中に吸い込まれそうになったタイミングでさっき浮かんだ人の声が聞こえてびっくりした。
「え」
「あ！起きたー！」
思わずぱちっと目を開けて顔だけそちらに向けるとニコニコなサクマがこちらに駆け寄るところだった。
「えぇ……帰ってくるからって言ったのに……」
「Aー！おはよー！」
「うん…ちょっと声量下げようか………」
サクマのチャイムだったのか。完全にこの天文台の場所を覚えてしまったらしいこの機械人形はまだ寝起き同然の私にも容赦なく眩しい笑顔を向ける。
「誰かと思ったら」
「あぁ…ふっか」
「寝れたか、まぁその様子ならぐっすりだったんだろうけど」
「おかげさまで…」
「なら起きて上がってこい、俺に負けじとお寝坊野郎め」
夜仕事したんじゃないのか。寝起きではない様子のふっかは嫌味っぽくそう言ってまた出ていった。仕方ないじゃん、昨日疲れたんだもん。
「Aーねむい？」
「…ねむい」
「まだ寝る？」
「ううん、起きるよ…」
ベッドから出て腰かけた。目を擦ってまたあくびをして、中々眠気が飛ばない私は中々立ち上がる気にならず。そんな私の隣に座ったサクマ。
「ねむい？」
「ねむい」
「ねる？」
「……寝たい」
「んふふ」
何故か笑ったサクマは私をぎゅーっと抱きしめてそのままゆらゆらと揺れた。まるでゆりかごのように。
「さくまぁ？」
「サクマ寂しかったー」
「え？」
「だからねー迎えに来たの！」
顔を見上げるといつものニコニコを見せながらも穏やかな表情。ゆらゆら揺らされる私はその表情にどこかの力が抜けたような気がした。もともと眠くて力なんて入っていないのに。
「…ありがとう」
何でお礼を言ったのか。私はその自分の本心を理解したくはなかった。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
