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「そっかぁ。よかったね、いっぱい教えてもらえて」
阿部ちゃんの優しい声もとてつもなく重く感じた。たった数日、しかも離れていた時間の方が長いかもしれないくらいなのにサクマは私との出来事をこんなにも楽しそうに記憶している。
機械人形が嫌いだって、戻ってくると言ったのに早々に忘れていなくなって。自分からすればサクマにとって嫌な事ばかりしているようなのに。
「さすがふっかの助手だね？天文に詳しい」
「……こんなの…誰でも知ってることだし」
また顔を背けた私。すると阿部ちゃんはサクマの元から私の隣に。
「なーに、康二と喧嘩した？それともお兄ちゃんに怒られたり？」
「…違うし」
「いつから帰ってないの。昨日ここ来てから？」
「一回帰った」
「じゃあ夜からね？その後どうしたの」
「……天文台に泊まった」
私が子供だから仕方ない事は分かってる。でも、やっぱりお兄ちゃん感を出すこの人に心の隅でムカついてしまう。でもどうすることもできなくて、自分の情けなさにさらにムカついて。
「サクマとはいつ会ったの」
「……天文台に来た」
「じゃあ今はその帰り道ってことでいい？」
黙って頷いた。阿部ちゃんはそっか、とだけ言って立ち上がる。少しだけ顔を上げて見るとサクマの背中を確認している。そして「バッテリー大丈夫？」と声をかけてからサクマのコードを外した。
「はい、動いていいよ」
「わー」
また隣に誰かが座る。言わずもがなサクマだ。ちらっと横を見ればニコニコと私を見つめていて、目が合ったと分かるとさらにニコッと笑うんだ。
「サクマげんきー」
「……うん」
充電完了らしい。
「A」
続けて阿部ちゃんが私の前にしゃがみ込み、私と目を合わせた。
「まだ帰りたくなかったら今日はここ泊まってきな」
「……え」
「別にふっかんとこも心配なかっただろうけど、ここにいるって分かれば照も安心だろうし。照には俺から連絡しとくから。どうする？」
あぁ、そうだった。阿部ちゃんはこういう人だった。最近は機械人形の事で嫌な思いを感じていたりさっきみたいにからかわれたりで忘れていたけれど。阿部ちゃんはずっと、昔から変わらずに優しい人だった。
でも、その優しさが昔みたいに嬉しくない。
むしろ嫌だ。
「……いい、帰る」
彼の目線を遮るように立ち上がった。そしてそのまま逃げるように、私はここから出た。
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ぽぷら(プロフ) - hanakoさん» hanakoさん。コメントありがとうございます！序盤でそんなに気に入って下さるなんて嬉しいです……！私の文章で少しでも楽しんでいただけたらそれほど嬉しいことはないです。ぜひ今後の更新もよろしくお願いします！ (2022年11月28日 22時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - りかちゃまさん» りかちゃまさん。コメントありがとうございます！ほんとですか！よかった〜まだ序盤ですが、今後もよろしくお願いします！ (2022年11月28日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - ちゃそさん» ちゃそさん。お待たせいたしました〜！ぜひ今作もよろしくお願いします！お気遣いありがとうございます…！ (2022年11月28日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - この序盤で既に泣きそうです、、。世界観に浸ってしまいますし、ぽぷらさんのお話は毎回心に刺さって本を読むことが嫌いなわたしでも文章を読むことが好きになりそうです泣続きも楽しみにしております！ありがとうございます！ (2022年11月16日 0時) (レス) @page8 id: 51201bff50 (このIDを非表示/違反報告)
りかちゃま(プロフ) - 世界観がすごく好きですж･｡(･▽･*)･｡+更新楽しみにしてます！ (2022年11月15日 18時) (レス) id: 09587eedf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年11月14日 20時
