食欲不振 ページ45
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きょろきょろしていた目線が再び私の元に戻る、そしてぱちぱちと瞬きをした。そのタイミングで阿部ちゃんが背中に回していた身体を元に戻す。
そしてサクマの顔を見て何かに気付いたらしい。
「サクマ？なんかあったね、言ってみ？」
「…A戻ってこなかったの」
サクマの口から出た言葉は思いもよらなかったこと。
「サクマ、悲しくてじゅーでんできなかった」
さっきまでの勢いはなんだったのか、声を小さくしたサクマは私を見て悲しい顔をした。
「……私？」
帰ってこなかった、それはきっと昨日の事だろう。
“……別に、すぐに戻ってくるし”
“ほんと？”
“うん”
“どうしたの！すぐ帰ってくるって言った！”
サクマの悲しい顔で思い出す昨日の夜の事。確かに私は戻ってくると言ってしまっていた。でも戻らなかった。
それで…？
「えっと……」
「…なーに、もしかして家出中？笑」
サクマに見つめられてどうもできない私に阿部ちゃんが笑ったのが見えた。
「い、いや…別に……」
「つまりねぇ、サクマは悲しくて食欲がなかったんだって」
「は？」
「だから今日急に切れちゃったんだねぇ、おかしいと思った」
戸惑う私、悲しそうな顔をするサクマ。それに反してどこかニヤニヤしているように見える阿部ちゃん。
「…なにそれ」
「だからね、サクマは俺の最高傑作なの。優秀なんだよ？」
意味が分からない。
「サクマー？でも戻ってきてくれたんでしょ？今日何してきたの？」
楽しそうに問いかける阿部ちゃん。その姿を見てまたムカついてしまった。なんでだろう、とにかく機械人形を前にして、自分の作ったものに対して笑うその姿が嫌で仕方ないのだ。
「サクマ？」
「……あ！」
サクマは阿部ちゃんの問いかけにワンテンポ遅れて反応した。そして見る見るうちに表情が明るくなって
「あのね！あのね！」
「うん？」
「しゃぼんだま！した！」
「シャボン玉？」
「ふわふわしてるの、綺麗でね！ぱちんってなるの！Aじょーずなの！」
さっきまでの様子は何だったんだ。そのくらいサクマはまたテンションをあげて大げさに話し出す。阿部ちゃんに向かって本当に楽しそうに話すんだ。
何だか変な気持ちだった。
そして
認めたくないけど、心が痛い気がしたんだ。
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ぽぷら(プロフ) - hanakoさん» hanakoさん。コメントありがとうございます！序盤でそんなに気に入って下さるなんて嬉しいです……！私の文章で少しでも楽しんでいただけたらそれほど嬉しいことはないです。ぜひ今後の更新もよろしくお願いします！ (2022年11月28日 22時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - りかちゃまさん» りかちゃまさん。コメントありがとうございます！ほんとですか！よかった〜まだ序盤ですが、今後もよろしくお願いします！ (2022年11月28日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - ちゃそさん» ちゃそさん。お待たせいたしました〜！ぜひ今作もよろしくお願いします！お気遣いありがとうございます…！ (2022年11月28日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - この序盤で既に泣きそうです、、。世界観に浸ってしまいますし、ぽぷらさんのお話は毎回心に刺さって本を読むことが嫌いなわたしでも文章を読むことが好きになりそうです泣続きも楽しみにしております！ありがとうございます！ (2022年11月16日 0時) (レス) @page8 id: 51201bff50 (このIDを非表示/違反報告)
りかちゃま(プロフ) - 世界観がすごく好きですж･｡(･▽･*)･｡+更新楽しみにしてます！ (2022年11月15日 18時) (レス) id: 09587eedf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年11月14日 20時
