苦手なこと ページ37
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「あ、来たんじゃない」
彼はピンポンを覚えたらしい。響き渡るチャイムの音でふっかは廊下へと出ていった。
私は機械とはいえ感情を持つサクマに対してどんな顔をしていいか分からず、彼が来る前にまたソファに身体を倒して顔を埋めた。
「A？」
しばらくして感じた気配。そしてそっと私の名前を呼ぶ声。
「サクマきたよぉー……」
彼もどうしていいか分からないのだろう。それか
「ふっか、Aねてる？」
「ううん、起きてる」
寝ていると思ってる。
「Aー、Aー？」
頭や肩、背中。トントン、トントンと私の至る所を優しく叩くその手はやっぱり機械人形だとは思えないほど人間。
そーっと目だけをサクマに向けた。それに気づいた途端、心配そうな表情をやめてにっこりと笑った。
「サクマきたよ！」
兄や康二に何と言われて来たのだろうか、そんなことは聞けるはずもなく。ゆっくりと身体を起こしてソファに座り直すとサクマはその隣に座ってニコニコと私を見る。
きたよ！と言われてもどうすれば。私を見つめ続けるサクマの視線を感じながらとりあえず紅茶を啜った。
「サクマってなんか飲めたりすんの？」
「いや、さすがに機械だから」
「サクマのご飯は充電だよ」
「はは！なるほどな」
このやりとり、どっかで聞いたような。
変な所が優しいふっかは、サクマがあまりにも紅茶を飲む私をガン見するので用意してやろうかと思ったらしい。自分で充電がご飯だと言ったサクマに笑って一度取ったマグカップを元の場所にしまった。
「でも阿部ちゃんならそのうち人間と同じ飯が食えるように改造とかしそうだけどな」
「…それもう機械じゃなくて人間作ってるようなもんじゃん、怖い」
「やりかねないぜ？一緒にご飯食べたいじゃんとか言って」
なぁ？ってサクマの方を見てわざとらしく笑ったふっか。それに対して
「サクマはね、Aにご飯食べさせてあげるんだよ」
「ゴホっ」
「Aひとりでたべるのニガテなの」
「ゲホっ、ゲホ……ちょ、サクマ何言って」
「んはは！へー！A一人で飯食うの苦手なの！！あははっ！！」
サクマのトンデモ発言に紅茶を変な所に入れてしまったじゃないか。それにふっかは爆笑で、むせ込んだ私の背中をサクマは焦ってさすってくる。
「A？だいじょうぶ？」
「んはは！だよなぁ、一人で食べんの苦手なんだもんなぁ？」
「げほっ…ほんっと、まじうざい…」
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ぽぷら(プロフ) - hanakoさん» hanakoさん。コメントありがとうございます！序盤でそんなに気に入って下さるなんて嬉しいです……！私の文章で少しでも楽しんでいただけたらそれほど嬉しいことはないです。ぜひ今後の更新もよろしくお願いします！ (2022年11月28日 22時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - りかちゃまさん» りかちゃまさん。コメントありがとうございます！ほんとですか！よかった〜まだ序盤ですが、今後もよろしくお願いします！ (2022年11月28日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - ちゃそさん» ちゃそさん。お待たせいたしました〜！ぜひ今作もよろしくお願いします！お気遣いありがとうございます…！ (2022年11月28日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - この序盤で既に泣きそうです、、。世界観に浸ってしまいますし、ぽぷらさんのお話は毎回心に刺さって本を読むことが嫌いなわたしでも文章を読むことが好きになりそうです泣続きも楽しみにしております！ありがとうございます！ (2022年11月16日 0時) (レス) @page8 id: 51201bff50 (このIDを非表示/違反報告)
りかちゃま(プロフ) - 世界観がすごく好きですж･｡(･▽･*)･｡+更新楽しみにしてます！ (2022年11月15日 18時) (レス) id: 09587eedf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年11月14日 20時
