性能 ページ12
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さすがにもう寝飽きた。
月明かりが差す窓をぼーっと見つめているだけの時間。
サクマは何を話すわけでもなくただ私のお腹のあたりをトントン、と優しく叩いている。多分だけど私はサクマに小さい子供だと思われている。
ふぅ、と一つ息を吐くとサクマが「お水飲む？」と。頷いてみると私をゆっくりと起こして、兄が用意したコップに器用にそれを注いで握らせた。
居たり尽くせりだ。
「苦しくない？」
「うん」
時間をかけて飲み切るとそのコップを受け取ってサイドテーブルに置く。本当に、今日初めて動き出して今日初めて私という人物を目にした機械人形なのだろうか。あまりにもナチュラルが過ぎる。
「……サクマ」
「うん、サクマだよ！」
私がその名前を呼ぶとそれはそれは嬉しそうに笑った。そうか、私が彼の名を呼んだのは初めてだったかもしれない。
「どこ行くの？寝てなきゃだめだよ？」
ベッドから出た私に少し焦って呼び掛けたサクマ。私はそれをスルーして窓を開けた。
夜風が部屋に入ってくる。少し寒いかもしれない。そうだ、私風邪ひいてたんだった。熱は今どれくらいなんだろうか。でもそんなの明日にでもなればきっとけろっとしてるんだから。
「……サクマは、自分がどうやって生まれたか知ってるの」
ついてきたのであろうサクマの気配を後ろに感じて、私はこんなことを聞いてみた。機械人形は自分がどんな存在であると認識しているのかが気になった。
「サクマはあべちゃんに作ってもらったんだよ」
「……へぇ、それ分かってるんだ」
「あべちゃんがサクマってつけてくれたの」
見えてないけどきっと嬉しそうに笑ってる。そもそも自分の生みの親を阿部ちゃんと呼ぶんだね。それは誰かの真似なのだろうか。あの人が自ら阿部ちゃんと呼ばせるとも考えられない。
「照、って人分かる？」
「ひかる！Aのお兄ちゃん！」
「……康二」
「こうじ！Aのおともだち！」
どうやらある程度私の周りの人間の存在はもうインプットしているようだ。
「……サクマ」
「なあに」
「私がサクマのこと、嫌いっていうのは知ってる？」
あえてこう聞いた。これだけ知能と学習能力が高いとそのまましっかりと受け取るだろうと、私は性格の悪い聞き方をした。
「んー？Aはサクマのおともだちだよ」
「……は？」
「おともだちは嫌いじゃないよ」
あぁ、都合のいい機械人形め。
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ぽぷら(プロフ) - hanakoさん» hanakoさん。コメントありがとうございます！序盤でそんなに気に入って下さるなんて嬉しいです……！私の文章で少しでも楽しんでいただけたらそれほど嬉しいことはないです。ぜひ今後の更新もよろしくお願いします！ (2022年11月28日 22時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - りかちゃまさん» りかちゃまさん。コメントありがとうございます！ほんとですか！よかった〜まだ序盤ですが、今後もよろしくお願いします！ (2022年11月28日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - ちゃそさん» ちゃそさん。お待たせいたしました〜！ぜひ今作もよろしくお願いします！お気遣いありがとうございます…！ (2022年11月28日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
hanako(プロフ) - この序盤で既に泣きそうです、、。世界観に浸ってしまいますし、ぽぷらさんのお話は毎回心に刺さって本を読むことが嫌いなわたしでも文章を読むことが好きになりそうです泣続きも楽しみにしております！ありがとうございます！ (2022年11月16日 0時) (レス) @page8 id: 51201bff50 (このIDを非表示/違反報告)
りかちゃま(プロフ) - 世界観がすごく好きですж･｡(･▽･*)･｡+更新楽しみにしてます！ (2022年11月15日 18時) (レス) id: 09587eedf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年11月14日 20時
