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その私の呟きに身体を離した阿部くん。
そして包帯が巻かれている腕にそっと触れた。すごく申し訳なさそうな顔をして。
「そーだ、Aちゃんお揃いだねぇ」
彼の悲しそうな顔に何も言えなくなってしまった私。すると横からふっかさんが声を掛けてくる。
「お揃い……？」
「この人助けた勲章って？笑」
右腕の袖を捲ったふっかさん。そこには私が初めてここにきた時に見せてもらった大きな傷跡。三本の爪で傷付けられたのであろうそれはあの時から薄くなんてなっていない。
「人って大事な存在を失いそうになると自分のことなんかどうでもよくなんだよね。勝手に身体が動いてさ、ただその存在を助けたいって思いだけになる。でもラッキーよね、自分も生き延びちゃってさ？照にマジ感謝」
「……それって」
「阿部ちゃん、お前のこと必死に助けた人間がここに2人もいんのよ。もう死にたいなんて言わせねぇからな。でも死ぬ気でこの子のこと守ってやれ、さもねぇと俺が貰うかんな？」
バシッと阿部くんの背中を叩いた。そんなふっかさんを見た阿部くんは一度俯き、そしてゆっくりと口を開く。
「渡すもんか」
小さいけれど確かに聞こえたその言葉。それを受けてふっかさんはふっと笑い、よーし飯だ飯だーと廊下に消えていった。何故か妖怪たちもついて行って、この空間には私達だけに。
腕に触れていた手を下ろして今度は私の手を少し控えめに握る。やっぱり彼の手は冷たい。でも温かさは必ず私と同じ世界にあるって、それが分かってるだけで安心感が桁違いだった。
自分が一緒にいたい人が
いつ消えてしまうか分からないなんて
そんな恐怖はもう二度と経験したくない。
だけど実際
人生は何が起こってもおかしくない。
彼が無事に身体へと戻って、人間として生活を始められたとしてもそれが一生続くとは限らなくて。それは自分自身にも言えること。いつ自分が死ぬか、死ぬことはなくてもいつ今の生活ができなくなるかも分からない。病気なのか、職を失うのか、命が消えるのか。
そんなこの世の真理みたいなことを考えてしまった時。ここ最近の私の身に起きたことが一気にフラッシュバックしていった。決して阿部くんの事だけじゃない。
私はあのままだったらいつ無くなるか分からない、大事な人生を後悔する道を辿っていっただろう。私を"導いて"くれたのは紛れもなく妖怪たちとふっかさんと
そして、阿部くんだ。
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小袖(プロフ) - ほんとに良すぎてふつえの小説として売り出して欲しいほどの満足感でした！伏線回収に気づいた瞬間が気持ちよくて、たくさん設定などを考えて時間をかけて作った作品なんだなと感じました。また他の作品もいくつか読ませていただいてますがどれも素晴らしいです！ (8月16日 13時) (
レス) id: 67585063eb (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 何度もループして読ませて頂いています！番外編も是非読んでみたいと思いTwitterフォロリク送りました。お手隙の際に承認して頂けると嬉しいです。これからも応援しています！ (2023年3月7日 1時) (レス) @page50 id: 828447a6ad (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - いつも素敵なお話読ませて頂いてます！ほんとにどれもいい作品で感動して涙が止まらないことも多々です、番外編なども読みたいと思ってしまったのでTwitter同じ名前でフォロー致しました、！承認していただけたら嬉しいです！これからも応援しています！だいすきです！ (2023年2月7日 5時) (レス) id: a15df57567 (このIDを非表示/違反報告)
akiaki(プロフ) - (続き) このお話のおかげでちょっと日常が楽しく､優しく思えました。素敵なお話ありがとうございました。 (2022年9月23日 9時) (レス) id: aa9a6e18cc (このIDを非表示/違反報告)
akiaki(プロフ) - はじめまして。もうアニメ化しません？って言いながら読んでいました。小説家さんなのでしょうか、気づかせるための伏線も泣かせるための伏線も上手すぎます。物語の感想じゃなくて申し訳ないのですが､このお話が紙の本として手に取りたくてしょうがありません｡(続く) (2022年9月23日 9時) (レス) id: aa9a6e18cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年6月24日 23時
