俺はここにいるよ ページ40
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あの日のように手を引かれて。いや、繋いで。
私と阿部くんはあの場所に。
もう辺りは暗くて少し雰囲気が怖いけれど、相変わらず神秘的なであることは変わらなくて空気が澄んでいる。
私達はこの先に広がる空間で襲われた。
けどチラッと阿部くんを見ると彼の表情は全く暗くない。彼も嫌な思い出としてこの場所が残っていないことに安堵する。
「ここ、いつから知ってるの？」
「んー？でも事故に遭ってからだよ」
「なんかいつ来ても誰もいないよね」
「俺も人に会ったことない」
しーんとしてる道を行く。木々が揺れる少しの音と2人の足音しか聞こえないこの道を。
しばらくして景色が開けてゆく。月明かりで少しだけ明るくなったその空間を視界に入れた時、私と阿部くんは思わず立ち止まってしまった。
「川がない……？」
川の水が一切なくなっていたのだ。乾いた石の川底が見えて、水気すら全くない。その川を跨ぐ小さな橋はどこか寂しそうに見える。
「何で…」
こんな短い期間で川の水が一切無くなるなんてありえるだろうか。なぜか悲しい気持ちになる。
静かに疑問の言葉を呟いた。
そんな私の手を隣の阿部くんはそっと離す。
その一瞬の出来事で彼がいなくなるかもしれないというあの恐怖が何故か一気に蘇ってきた。
「！…あべくっ……」
怖くて、勢いよく振り返りながら彼の名前を呼んだ。けどその言葉は遮られて気がつけば彼の腕の中に。
「大丈夫、俺はここにいるよ」
抱きしめられた私に振ってきた言葉。それはものすごくしっかりしていた。
「消えたりなんかしない。Aちゃんのそばにずっといるよ」
「な…んで……」
「……可哀想なことしちゃったかもな」
彼の言葉の意味がわからない。そっと顔を上げて見上げると、阿部くんはそのカラカラになった川を見つめていた。
「ここに来るとね、いつも誰かの声が聞こえてた」
その言葉に私はハッとする。
「一緒だね、似たもの同士だねって。その声が何なのかは分からなかったし、その声の主が何をもって一緒だって言ってるのかも分かんない。けど俺も思ってた、一緒だなって。ずっと孤独なんだって。本当に何となくなんだけど。だからここに来ると安心できるような気がした、仲間がいるって」
"助けてよ"
"一緒にいてよ"
"あっためてよ"
あの声は……
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小袖(プロフ) - ほんとに良すぎてふつえの小説として売り出して欲しいほどの満足感でした！伏線回収に気づいた瞬間が気持ちよくて、たくさん設定などを考えて時間をかけて作った作品なんだなと感じました。また他の作品もいくつか読ませていただいてますがどれも素晴らしいです！ (8月16日 13時) (
レス) id: 67585063eb (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 何度もループして読ませて頂いています！番外編も是非読んでみたいと思いTwitterフォロリク送りました。お手隙の際に承認して頂けると嬉しいです。これからも応援しています！ (2023年3月7日 1時) (レス) @page50 id: 828447a6ad (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - いつも素敵なお話読ませて頂いてます！ほんとにどれもいい作品で感動して涙が止まらないことも多々です、番外編なども読みたいと思ってしまったのでTwitter同じ名前でフォロー致しました、！承認していただけたら嬉しいです！これからも応援しています！だいすきです！ (2023年2月7日 5時) (レス) id: a15df57567 (このIDを非表示/違反報告)
akiaki(プロフ) - (続き) このお話のおかげでちょっと日常が楽しく､優しく思えました。素敵なお話ありがとうございました。 (2022年9月23日 9時) (レス) id: aa9a6e18cc (このIDを非表示/違反報告)
akiaki(プロフ) - はじめまして。もうアニメ化しません？って言いながら読んでいました。小説家さんなのでしょうか、気づかせるための伏線も泣かせるための伏線も上手すぎます。物語の感想じゃなくて申し訳ないのですが､このお話が紙の本として手に取りたくてしょうがありません｡(続く) (2022年9月23日 9時) (レス) id: aa9a6e18cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年6月24日 23時
