まだ ページ36
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あの時のようにこつんとおでこをくっつけた。
でも背が高い阿部くんと私とじゃ立ち上がればおでこ同士じゃなくてつむじとおでこになりそうだ。
男の人なんだなぁって。ずっと消えてしまいそうな雰囲気から一転、その存在感を感じて呑気にそんなことを思う。
ちらっと彼の顔を見ると、その瞳は熱を帯びていた。
「……その前に約束して」
私は彼の胸に顔を埋め、ぎゅっと抱きついた。
この温かさに私は何度安心すればいいのだろう。
彼から体温を感じること、それがとても特別に思える。
「もう絶対…死にたいなんて言わないで」
これはわがまま？私のエゴ？ある意味ひどい言葉かもしれないし、そんなこと言ったら彼は今後私に気を遣ってしまうかもしれない。でも、改めて彼の体温に触れた時、もう絶対に自分から離れてほしくないと思った。
しばらくして私の顔は彼によって上に向けられる。
頬に手を添えて、優しく笑って。
ただ私を見つめて。
そして彼は何も言わずに
ゆっくりとキスをした。
「……やくそく」
「分かった、なんて言うよりよっぽど信用できるでしょ？」
はぐらかされたのか。一瞬そう思ったけど彼はそう言って一度離した唇をもう一度寄せる。
何度も何度も何かを求めるように口づける彼は次第に私をどこかへ追いやる。足元が何かにトン、と当たった瞬間に、背中をグッと支えられて私の身体はゆっくりと倒された。
本当に、腕の力だけは一年眠ってたとは思えない。
「随分がっつくなぁとか思ってる？」
「……積極的だなぁとは思ってた」
「男がおあずけなんか食らったらこうなるんだよ」
「体力ないくせに」
平気そうに偽ってまたツンツンしちゃうけど、それは物凄く恥ずかしいからで。上から私を見下ろす彼が見たことないくらいに色っぽい。誰がさっき退院してきたばかりって信じる？
「……ふふ、確かにね。途中でへばったりしたら最高にダサい。でもそっちだって顔真っ赤にして今にも沸騰しそうだよ？」
「……ばか」
偽れてなんかいなかった。こうやってまたいたずらする彼のこと、やっぱりさっき退院してきたなんて信じられない。
「ほんとばか」
ただこの状況でさえ、私は恥ずかしさの中に安心の気持ちが湧き上がってくる。
「私たち順番が違う。まだお互いにちゃんと伝えてないよ…」
どこかお互い避けていたであろうあの言葉。
それを伝えられるくらい、やっと彼がここにいる、ずっといてくれるって感じだから。
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小袖(プロフ) - ほんとに良すぎてふつえの小説として売り出して欲しいほどの満足感でした！伏線回収に気づいた瞬間が気持ちよくて、たくさん設定などを考えて時間をかけて作った作品なんだなと感じました。また他の作品もいくつか読ませていただいてますがどれも素晴らしいです！ (8月16日 13時) (
レス) id: 67585063eb (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 何度もループして読ませて頂いています！番外編も是非読んでみたいと思いTwitterフォロリク送りました。お手隙の際に承認して頂けると嬉しいです。これからも応援しています！ (2023年3月7日 1時) (レス) @page50 id: 828447a6ad (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - いつも素敵なお話読ませて頂いてます！ほんとにどれもいい作品で感動して涙が止まらないことも多々です、番外編なども読みたいと思ってしまったのでTwitter同じ名前でフォロー致しました、！承認していただけたら嬉しいです！これからも応援しています！だいすきです！ (2023年2月7日 5時) (レス) id: a15df57567 (このIDを非表示/違反報告)
akiaki(プロフ) - (続き) このお話のおかげでちょっと日常が楽しく､優しく思えました。素敵なお話ありがとうございました。 (2022年9月23日 9時) (レス) id: aa9a6e18cc (このIDを非表示/違反報告)
akiaki(プロフ) - はじめまして。もうアニメ化しません？って言いながら読んでいました。小説家さんなのでしょうか、気づかせるための伏線も泣かせるための伏線も上手すぎます。物語の感想じゃなくて申し訳ないのですが､このお話が紙の本として手に取りたくてしょうがありません｡(続く) (2022年9月23日 9時) (レス) id: aa9a6e18cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年6月24日 23時
