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一年以上もの間眠り続けて、そして急に目を覚ました阿部くんにお医者さんや看護師さんはものすごくびっくりしていた。
泣き続ける私に申し訳なさそうにしつつ、阿部くんのことをすぐにどこかへ連れて行った看護師さん達。きっと検査だったりいろいろしなければならないんだろう。
阿部くんがいなくなった病室で、ふっかさんに肩を抱かれながらしばらく泣いた。落ち着いた頃には陽が傾いていて、そして差し込む夕陽がいなくなったと同じくらいに阿部くんは戻ってきたのだった。
「看護師さん、阿部ちゃん大丈夫ですか？」
「どこも異常は無かったわ。少しだけど受け答えもしてくれた。今は疲れて寝ちゃってるけど、きっと目を覚ましたら2人ともお話しできるはずよ」
「……ありがとうございます」
「びっくりよ…でも本当によかったわね。やっぱり2人が来てくれてたのが嬉しかったんじゃないかしら」
ふっかさんの問いかけに穏やかに答えた看護師さん。何かあったらいつでも呼んでねって優しい言葉をかけて去っていく。
酸素マスクが取れた阿部くん。さっきよりもちゃんと顔が見えて、息づかいもはっきりと感じられる。心なしか今までより穏やかな寝顔に見えて、本当に戻ってきてくれたんだってどこか信じられなかった私はまた安堵した。
「……戻ってきたんだ」
「そうだね」
「阿部くん…生きてる……」
大切な人が生きている。それがどんなに嬉しい事か。
「Aちゃん、俺あいつらに阿部ちゃん起きたよって伝えてくるね。今日は面会時間過ぎてもいていいってさっき言われたからゆっくりしてて。俺もまた戻ってくるよ」
「……阿部くん、起きちゃうかもしれないですよ？」
「Aちゃん居てくれるでしょ？任せるよ」
ふっかさんは眠る阿部くんに「出かけてくんねー」と小さく声をかけて本当に病室を出ていった。
また2人きり。起きたら号泣してる人がいて、そしてすぐに検査やら何やらに連れて行かれて。疲れただろうなぁって。出来心で阿部くんの頭を撫でてみた。いつもされる側だし、多分こんな時しかできないなぁなんて。
人間の世界の阿部くんは何をするのが好きなんだろう。どんなことに興味を持つのだろう。どうやって過ごしていたんだろう。何をみて、笑顔を見せるんだろう。
まだまだ彼の事は知らないことばかり。実は本当に何も知らないのかもしれない。
これから彼の事をもっと知っていけるかもしれないと思うとすっごく嬉しかった。
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小袖(プロフ) - ほんとに良すぎてふつえの小説として売り出して欲しいほどの満足感でした！伏線回収に気づいた瞬間が気持ちよくて、たくさん設定などを考えて時間をかけて作った作品なんだなと感じました。また他の作品もいくつか読ませていただいてますがどれも素晴らしいです！ (8月16日 13時) (
レス) id: 67585063eb (このIDを非表示/違反報告)
吹雪(プロフ) - 何度もループして読ませて頂いています！番外編も是非読んでみたいと思いTwitterフォロリク送りました。お手隙の際に承認して頂けると嬉しいです。これからも応援しています！ (2023年3月7日 1時) (レス) @page50 id: 828447a6ad (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - いつも素敵なお話読ませて頂いてます！ほんとにどれもいい作品で感動して涙が止まらないことも多々です、番外編なども読みたいと思ってしまったのでTwitter同じ名前でフォロー致しました、！承認していただけたら嬉しいです！これからも応援しています！だいすきです！ (2023年2月7日 5時) (レス) id: a15df57567 (このIDを非表示/違反報告)
akiaki(プロフ) - (続き) このお話のおかげでちょっと日常が楽しく､優しく思えました。素敵なお話ありがとうございました。 (2022年9月23日 9時) (レス) id: aa9a6e18cc (このIDを非表示/違反報告)
akiaki(プロフ) - はじめまして。もうアニメ化しません？って言いながら読んでいました。小説家さんなのでしょうか、気づかせるための伏線も泣かせるための伏線も上手すぎます。物語の感想じゃなくて申し訳ないのですが､このお話が紙の本として手に取りたくてしょうがありません｡(続く) (2022年9月23日 9時) (レス) id: aa9a6e18cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年6月24日 23時
