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時間を下さい。
そうふっかに言ったらしいAは数日休んだのちに意外にも早くバイトに復活。やっぱり前と比べたら万全という訳ではなさそうだけど、少しずついつものAに戻ってきている気がした。
パスタを食べるAの写真を送ればすぐに「可愛い」なんて返してくるふっか。俺に対してはこんなに素直になったのになってつくづく思ってたけど、ついに本人にもしっかりと気持ちを伝えたらしい。
深澤辰哉家に連れ込んだ
大学で授業を受けている時に届いたLINE。思わず「は？」と声を漏らしてしまった。付き合いが長い故に口が少し悪くなるみたいで、隣にいた大学からの友達はちょっとびっくりしてたっけ。
阿部亮平お前ふざけんな
深澤辰哉ペア課題出たからやろってだけだよ。俺実家だし
あぁそういえばふっかは実家暮らしだっけ。でも少しでも変な聞こえ方するように言うのも悪いと思う。
その後しばらく返信はこなくて。上手くやってるといいけどなんて思いながら俺も授業に集中していた。
次に反応が来たのはだいぶ夜遅く。
そろそろ寝ようかななんて考えてた時に俺のスマホが光った。
「……え、どういうこと」
思わず思考が停止するほどには急すぎる報告で。
深澤辰哉俺ら両想い❗️わら
照れ隠しなのかしばらく見てなかった赤いびっくりマークとAにも散々気持ち悪いと言われていた「わら」をつけて。
「ねぇどういうこと」
「いやまずおめでとうだろ」
「急すぎ」
「そのまんまだよ、正式にカップルになりました」
「……嘘でしょ」
「失礼だな」
いつもの調子のようで、電話越しでも伝わるどこか照れたような声で話すふっか。
「……おめでと」
「おう」
「嬉しい？」
「嬉しいなんてもんじゃない、幸せ」
「うっわ」
「だからさっきから反応が失礼だわ」
「ふっかの片想い終わったちゃったの？」
「ちゃった、ってなんだよ」
「いやー日常の一部が無くなったみたいで」
「阿部ちゃんとのご飯も大事にすっから」
「結構です」
「おい」
一途なふっかのお世話係だった俺もその役目を終える時が来たみたい。
入学式の出来事をバラされて顔を真っ赤にするふっかの姿を見た俺は、やっぱり可愛い奴だなって思うと同時に
そのエピソードを聞いた時のAのどこか遠くを見つめるような不思議な反応に、少しだけ違和感を感じたのだった。
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終わり
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年1月28日 16時
