時を超えて、私の涙を拭う手は。 (ページ40)

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一途なあいつと無関心なあの子ページ40

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「なんか久しぶりだね」

「忙しいであろう成績優秀マンに声かけづらいんだよ」

「忙しかったらバイト行ってAと毎回顔合わせてないよ。どした？」

ふっかはああ見えて実は一途な男の子だ。

ただ、高校の時一向に振り向かないAに心が折れて対して好きでもないくせに別で彼女を作った時は何やってんだかって呆れたっけ。たまたま俺がAと席が隣になった時はものすごく視線を感じていたし、痺れを切らして彼女のこと見てあげなって皮肉めいたことを言った翌日に振られてた。

「いやぁ？久々に阿部ちゃんと飯食いてーなと思っただけ。」

「相変わらずあしらわれてんの？」

「話聞けよ」

「俺が相手してあげてってさ、してあげようじゃない」

俺の記憶が正しければ2、3回で懲りたようで。それ以降は告白されてむやみにOKすることは無くなった。あの時ふっかの彼女になった子たちは気の毒としか言いようがない。

恋愛で進路を決めたわけではないだろうけどAと同じっていうのも多少はあるんだと思う。同じとこだし勉強教えてってチャンスを狙うも「阿部ちゃんの方が分かりやすく教えてくれるよ」って突き放されてたのは俺も苦笑いするしかなかった。

「……ご想像の通りだよ」

「むしろちょっと迷惑そうにしてた」

「追い討ちかけんなよ」

「ここまで来るともう面白くなってくるよね」

「少しは労われ！」

絶対Aと同じとこ行く…って結局俺に教わりながら見たことないくらい勉強を頑張ってたのは俺だけが知ってる姿。受かったって報告を受けた時に「嘘でしょ？」って失礼な程に驚いてたAにまた俺は苦笑いだった。

大学生となった今もAに首ったけなふっかは心が折れそうになるとこうやって俺を呼ぶ。

「この間ご飯行ったって言ってたじゃん」

「いやそうなんだけど」

「迷惑そうにしつつ付き合ってくれてるんだから頑張りどころなんじゃないの？」

「いや俺頑張ったの、結構踏み込んだつもりなの」

「ふぅん？」

「……高校の時と比べて綺麗になったし可愛くなったって。結構真面目に言ったんだけど」

「効果ナシ、と？」

「むしろどうしたの、酔ってる？って心配された」

「あちゃー」

「今度阿部ちゃん言ってみ」

「言っとくけどAの俺に対する信頼度結構だよ？」

「やっぱやめて」

まだまだふっかの戦いは続きそうだ。