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「うっわぁ、なんかもう泣けてくるわぁ…卒業なんやなぁ」
ゼミの教授から卒業証書を受け取った途端、康二はぶわっと涙を流した。それを見たゼミ生はすぐ泣くー!って笑う。
ゼミでやった大きいプロジェクトが終わった時も「みんな頑張ったなぁ…!」って泣いてたっけ。ピュアなんだなぁってそんな所にも惹かれてしまって私はもうこの人に落ちてるんだなって心の中で苦笑いしたのも何だかとても昔に感じる。
「ちょっとみんな集まってや!集合写真撮るで!」
涙をぐしぐしと拭った彼はまたカメラを向ける。自然とみんなが集まったけど、流石にこの写真には康二も入らないといけないでしょと思って。
「タイマーとかにできないの?康二も写らないと」
「いやぁ、多分目ぇ真っ赤やから恥ずかしいで」
「それも思い出だよ」
みんながそうだよ入りなって、その声を聞いて何故か恥ずかしそうに笑った彼はカメラを置いた。
「いくで!5、4、3、……」
駆けてきた彼は勢いよく私たちの中に飛び込んだ。でもそれは端っことかじゃなくて後列で人に挟まれていた私の隣に体をねじ込むようにして
「ぁ……」
思わず誰にも聞き取れないくらいの小さな声を出した。頭をくっつけるように、私の肩に腕を回したのは着物越しでもしっかりと感じた。
『おい康二絶対俺ブレたじゃん!笑』
「ええやん!どうせならセンターで写りたかったんよー!」
その衝撃でバランスを崩した友達が彼に笑いながら文句を言う。それに答えながらカメラを確認しに行くと「おお、ええやん!」とにっこり笑った。
何だ、今の。
驚き?ドキドキ?
あまりにも距離が近い。
好きだと自覚はしてるけど、一緒にいる時間が長かったからかフラットにいられた彼の隣。それでも今の距離の近さに動揺してしまって、少しの間固まっていた。
かろうじてピースはできてたと思う。
顔、大丈夫かな。
当の本人はもうすでにPhotoBoyのモードに戻っていて、卒業証書を持ったみんなに向けてカメラを向けている。
あぁ、かっこいいな。
こうやってカメラを覗く横顔を見れるのも
今日で終わりなんだ。
告白なんて出来なくて
したところでどうもならない気がして
急に手元の卒業証書がとても切ないものに思えてきた。彼みたいなピュアなものじゃない、別の涙が湧き上がってくるよう。
恋心と一緒に、鍵をかけるように
私はその証書を筒にしまった。
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ぽぷら(プロフ) - なおさん» コメントありがとうございます!かなりお返しが遅れてしまってすみません💦楽しんでいただけたようで嬉しいです(^^)こちらこそありがとうございました! (7月14日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - ラウ担です。ラウちゃんがほんとにラウちゃんらしくて、ずっとラウちゃんの声が脳内再生されていて幸せでした!素敵なお話をありがとうございます! (2023年5月6日 22時) (レス) id: 61924ce533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月30日 23時