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「休憩行ってきまーす」
特に特別なこともなく休憩時間。インカムを通してそう言いつつバンダナに手をかける。ふるふると頭を振って前髪を降ろした。
携帯を取り出してSNSを見てみると、お洒落なディナーやイルミネーションの写真で溢れている。みんな浮かれてるねぇ、なんて心で言ってみたって特に何も起こらない。
別に友達がいないわけでもない。彼氏はいないけど。
ただ単純に今日この日にクリスマスだからって予定を入れる歳でもなくなったというか。自分でも性格はさっぱりしてる方だと思ってるし、私の周りの友達もそんな感じで。普通の、冬の中の1日でしかない。
「あ、Aちゃん」
「ん？」
賄いを受け取りにキッチンへと行くとグラスをお盆に乗せて入ってきた目黒くんに話しかけられる。
「今日って何時まで？」
「えっと、22時までだけど」
「まじ？同じだわ」
それだけ言って消えていった目黒くん。心なしかいつもより機嫌が良さそうだけど、何かあるのだろうか。
裏に戻ってその賄いを置いた時、棚にしまわれているファイルが目に入って。そういえば年末年始のシフト確認してないなとそれを手に取る。
「おぉ〜、稼げるねぇ」
実家に帰る予定もなく、めいいっぱい希望を出したシフトはほとんどそのまま入っている。今年は稼ごうと決めたのだ。
「あれ、ほぼ毎日目黒くんとだ」
そのシフト表をぼんやりと見つめていると"目黒蓮"の欄には私と同じくらいにめいいっぱいのシフトが入っていた。
珍しい、年末年始なんか大体の学生が帰省するなり遊びに行くなりするはずなのに。
あまりイベントごとに興味がない人なのかなぁ。でもあんなに人気者なら誰かに誘われることだってあるだろうに。
でも何だか目黒くんが少し身近に感じて。
私と似てる所があるのかもしれない。
「あれ、ちょっと混んだ？」
「ちょっとね。あっちのテーブルお願いしていい？」
「うん」
休憩明けにホールに戻ると少し賑やかになっていた店内。忙しなく動く目黒くんは私にお盆を渡してまた駆けていく。
「爽やかだなぁ」
頼み事をしたり、こうやって忙しい時も。必ず笑いかけながら要件を話してくれる彼の居酒屋に似つかわしくないほどの爽やかさと言ったら。
「……えっ？」
彼の背中を見つめてたら急に振り返られて目が合った。びっくりした私に何だか悪戯な笑顔を見せた目黒くんはテーブルを指差して言う。
「呼ばれてるよ。笑」
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ぽぷら(プロフ) - なおさん» コメントありがとうございます！かなりお返しが遅れてしまってすみません💦楽しんでいただけたようで嬉しいです(^^)こちらこそありがとうございました！ (7月14日 1時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - ラウ担です。ラウちゃんがほんとにラウちゃんらしくて、ずっとラウちゃんの声が脳内再生されていて幸せでした！素敵なお話をありがとうございます！ (2023年5月6日 22時) (レス) id: 61924ce533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2021年11月30日 23時
