君の日記と冬の海

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「行くかぁ」


月曜日。あのオシャレなカフェの中にいても違和感がないようにやりすぎない程度のオシャレをして部屋を出る。

結局昨日は引越しの片付けやらなんやらで疲れていたのか私は昼まで寝ていて、さらには日用品などの買い物に午後から出かけ。

気づいた頃にはそのカフェの営業時間が終わっていた。


引越しのために1週間ほど休みをもらっていたので今日は平日だけど休み。なるべく早くやることを終わらせて町を懐かしむ余裕が欲しかった私は爆速で引っ越しをする計画を立てていた。大成功。


「あ、いらっしゃいませ。お好きな席どうぞ」


ちゃんと【Open】になっているプレートを確認して開けたドア。出迎えてくれた店員さんは土曜日にそのプレートをひっくり返していた人だとすぐに分かった。

柔らかいブラウンのふわっとした髪。
緑のエプロンをつけたお兄さん。


「ベランダ席おすすめですよ、海がよく見えるんです。もうすぐ寒くなっちゃうから今がチャンスですよ」


まだ午前中でしかも平日だからか私以外にお客さんがいないお店。お好きな席にと言われたものの、逆に迷ってしまった私に声をかけたその人。

少しだけ段差を上がって、カラス張りの扉を開けた先のベランダ席に案内してくれた。


「わぁ、でもちょっと寒いかも。ブランケット持ってきますね、メニューご覧なってて下さい」


可愛らしい手書きのメニュー表を渡して店の中に戻っていった店員さん。それに目を通した私はページをめくった一番最初のページにあった"フレンチトースト"の文字に惹かれた。



「これどうぞ」

「あ、ありがとうございます。注文いいですか？」

「お伺いします」



ニコッと笑ってブランケットをくれた店員さん。それを膝にかけてメニュー表にまた視線を落とす。



「えっと、このフレンチトーストとホットカフェラテお願いします」

「かしこまりました。今から焼くのでカフェラテだけ先にお持ちしてもいいですか？」

「あ、はい。お願いします」

「お待ちくださいね」



爽やかな笑顔だなぁ、午前中とは思えない。ガラス越しにその店員さんを目で追うと、ひょこっと出てきた別の店員さんらしき人に何かを話している。OKと手で合図をしたその人。

見た感じ、あの2人以外に店員さんはいないのかな。男性2人でやってるカフェなんて珍しいな。


そんなことを思いながら目線を景色に移した。ほんとだ、海が綺麗に見える。

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