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「さくま、もうやめときなよ」
「酔ってねぇよ…」
「いや酔ってるでしょ。一杯で赤くなる人が強がっても仕方ないよ」
お馴染みの場所で二次会がスタートしたわけだけど。佐久間は「お前いなくて仕事捗んねぇの!!」とかそんなことを言いながら普段より何杯も多くアルコールを入れていた。
悩みでもあるなら聞き出そうと思ってたけど話し出す感じもなく、もうこれは潰れる寸前。
私だって強いわけじゃないからもうとっくにウーロン茶にシフトしている。佐久間は絶えずにアルコールを注文してるんだけど。
「ちょっと寝るのだけはやめてよ…」
私の嘆きは届いているのだろうか。
「さくま?ほら、もう帰ろ。明日しんどくなるよ」
「A……」
「なに」
「マジで戻ってこねぇの?」
「……そりゃ戻るなんてことできないよ」
相当弱ってるみたいだ、でも原因が分からない。そんなに同期がいないのが寂しいか。隣に行けばふっかと照くんもいるのに。
「……奢る」
むくっと起き上がった佐久間は伝票を手に取り立ち上がる。急に動き出すもんだからびっくりだし、やっぱりちょっとフラフラしてるし。
「佐久間、いいよ払うよ」
「いいから」
それでもしっかりと私の分まで払った佐久間。外に出ると電話をしてタクシーを呼んでいる。
意外とちゃんと帰れそうだな。そう思った私は佐久間が呼んだであろうタクシーが見えたのでその場を去ろうとした。
「ごちそうさま。ちゃんと帰るんだよ、なんか心配だから着いたらLINEとか入れて」
「どこ行くんだよ」
「適当にホテル取る」
「金かかるじゃん、俺んち泊まれって」
「あ、いや…そんなの悪いって。みんなが出してくれたから一泊くらい大丈夫だよ」
「いいから!」
結局私の送別会も兼ねてってことで3人が払ってくれて、しかもさっきも佐久間が奢ってくれて。普段の定期からプラス分の電車代以外使ってないから安いビジネスホテルくらいなら泊まれる。
なのに佐久間は私の腕を掴んでタクシーへとずんずん歩いて行った。半ば無理矢理タクシーに乗せられ、自分の家であろう住所を運転手さんに告げると私の腕を掴んだまま窓の外に視線を向けた。
「さくま…?」
声をかけてもこっちを向かない。結局一言も話さないまま、とあるマンションの前でタクシーは止まった。
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ぽぷら(プロフ) - お風呂場の狸さん» いつもコメントありがとうございます!また泣かせちゃった…(笑)お楽しみいただけたようで嬉しいです。寒くなってきてお仕事だとか、朝起きるのも億劫な季節ですよね。お互いに頑張りましょうね( ; ; )こちらこそありがとうございます! (2021年12月19日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
お風呂場の狸(プロフ) - めちゃめちゃ泣きながら読んでいま全てを踏まえて読み返してます……ほんとに天才です最高です……今日も6時半起きで仕事なのに一気読みしちゃいました……!今週一週間も頑張れそう(;-;)とても面白かったです!ありがとうごさいます!!! (2021年12月13日 2時) (レス) @page17 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - aggyさん» お読みいただきありがとうございます!どうなるんですかねにやにや(笑)駆け足になりますが彼らを見届けてくださいね!コメントありがとうございます(^^) (2021年11月29日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - コメント失礼致します!いつもお話拝見させて頂いてます。今回のお話、読んでてニヤニヤしちゃいます笑笑今後の展開楽しみにしてます! (2021年11月27日 20時) (レス) @page50 id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月26日 11時