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「じゃああっちでも頑張れよー」
「ふっかもねー照くんに迷惑かけないんだよー」
「かけてねぇよ」
「はは、ちゃんと見張っとくわ。じゃあなー」
私への配慮でいつもより早く解散。駅まで送ると何故か聞かない佐久間と一緒に2人に手を振る。
「ねぇ本当にいいの?2人と一緒でしょ方向」
「いいから黙って送られとけ」
佐久間は顔が赤い。まぁお酒が弱い彼は通常営業なんだけど、なんかいつもよりふわふわしててちょっと心配になる。
「佐久間帰り気をつけてよ?つまずいて転んだりしないでね」
「2軒目いかねー?」
「は?」
「だって来月まで会えないんでしょ?寂しいだろーが」
私の心配な言葉を無視して佐久間は変なことを言い出した。もしかして相当酔ってる?別にいつもより飲んだってわけでは無さそうなんだけど……
「何言ってんの。私乗り換えの電車がもう今から向かわないと無くなるんだって」
「帰んなきゃダメなの?明日日曜じゃんか」
「いや帰るよそりゃ」
「俺んちくれば」
「はい?」
「だから俺んち泊まればいーじゃんって」
「佐久間、ちょっと大丈夫?」
心配になって立ち止まる。佐久間の腕を掴んで顔を覗き込むと何だか目がうるうるしていた。え、ちょっと
「なんかあった…?」
こんな顔してる佐久間は初めて見た。元気でうるさくて、私にはちょっと雑で。そんな同期の見慣れない姿に動揺する。
「なんかあったって言ったら付き合ってくれんの?」
「え…?」
「もうちょっと一緒にいてくれよ……」
佐久間の弱々しい姿に心配の気持ちが湧き上がる。何だろう、何か仕事ミスった?それとも私がいなかったこの1週間くらいで誰かと関係が拗れた?
色々な選択肢を頭に思い浮かべるけど分かんなくて、私は佐久間の悲しい顔で戸惑うばかり。
「……分かったよ。どこいく?私この辺知らないから佐久間が決めて」
付き合ってあげよう。こんな顔見せられたらそう思わざるを得なかった。もうデスクが隣なわけでもない、悩みを抱えたままの同期を残して戻るのは気が引けた。
「いつもんとこいこ、やっぱあそこが落ち着く」
佐久間はぐるっと体を反転させた。私が使う駅寄りのお店にいたからいつも同期会をしていた本社の方の店は少し遠いはずだけど…
「タクシー乗ろう、出すから」
近くに止まってたタクシーを捕まえた佐久間。私は何も言えずに彼について行った。
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ぽぷら(プロフ) - お風呂場の狸さん» いつもコメントありがとうございます!また泣かせちゃった…(笑)お楽しみいただけたようで嬉しいです。寒くなってきてお仕事だとか、朝起きるのも億劫な季節ですよね。お互いに頑張りましょうね( ; ; )こちらこそありがとうございます! (2021年12月19日 16時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
お風呂場の狸(プロフ) - めちゃめちゃ泣きながら読んでいま全てを踏まえて読み返してます……ほんとに天才です最高です……今日も6時半起きで仕事なのに一気読みしちゃいました……!今週一週間も頑張れそう(;-;)とても面白かったです!ありがとうごさいます!!! (2021年12月13日 2時) (レス) @page17 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - aggyさん» お読みいただきありがとうございます!どうなるんですかねにやにや(笑)駆け足になりますが彼らを見届けてくださいね!コメントありがとうございます(^^) (2021年11月29日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - コメント失礼致します!いつもお話拝見させて頂いてます。今回のお話、読んでてニヤニヤしちゃいます笑笑今後の展開楽しみにしてます! (2021年11月27日 20時) (レス) @page50 id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月26日 11時