なんて言ってるの? ページ37
・
「ねぇAちゃん。阿部ちゃんなんて言ってるの?」
「え?」
「ずーっとAちゃんのこと見てるよ。話しかけられてないの?」
デスクで事務仕事をしてた時に隣の佐久間さんにそう聞かれた。阿部さんの方を見ると確かにこっちを見つめていた、目がばっちり合う。
「…私阿部さんの声聞こえないんで分かんないです」
「え?どういうこと?」
「心の声聞こえなくなったんです」
「でもさっき俺の聞こえてたよね?」
「あ、いや。佐久間さんのは聞こえます。阿部さんのだけ聞こえないんです」
「え?どういうこと…?」
佐久間さんが混乱している。他の皆さんも不思議な顔してこちらをを見ていた。雰囲気的に阿部さんから皆さんに言ってるもんだと思ってたけど…知らないみたいで?
「あー、言ってなかったっけ?多分もうAちゃん俺の声聞こえないと思うよ」
「えぇ?なんで?なんで聞こえなくなったの?あんなに秘密の会話してたのに」
「あ、いやー…そのー……」
非常に答えるのが恥ずかしい質問だった。色々説明すると長くなるしというかそれが本当かどうかも分からないし…本当なんだとは思うけど…自分から言うのはさ、ちょっと。
「んーまぁ、分かりやすく言うとー」
阿部さんはニコニコしながら立ち上がって私の方に来た。そして座ってる私に後ろからハグをする。
「俺がAちゃんのこと大好きだから」
「えっ、ちょ…!」
さすがに私たちがそういう関係になったことは皆さん把握済みだった。というか阿部さんが言ったらしい。だからといって別に事務所ではいつも通りだしみなさんも変に気遣ったりしないから凄く平和な日々を過ごしていたんだけど……
「ふはは!A顔真っ赤じゃん。笑」
「うわーあざといね今の、まじギルティー」
「幸せそうでなにより」
ダメだ、流石にこれは恥ずかしすぎる。
「お前らがラブラブなのは分かったけどさ…何で?」
「だから好きだから」
「いやだとして何で?」
「ちなみに俺はAちゃんの聞こえてるからね」
「いや何で」
「見て、照れてる可愛い」
「こいつ答える気ねぇな」
渡辺さんが呆れて聞くのをやめた。
中途半端な説明しかしてくれなかった阿部さんに、どうか聞こえてませんようにと思いながら意地悪!と悪態をついた。
3188人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お風呂場の狸(プロフ) - はじめまして、こんばんは。一気読みしました。100億万回☆5押したいですし、もう、なんというか、本当に最高のお話でした。ここ数日の私の生き甲斐でした。本当にありがとうございました!面白かったです。 (2021年11月16日 19時) (レス) @page49 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
こっしー(プロフ) - こんばんは!S1をお迎えに行ったのですが、このお話の続きって?!ってなるくらい似ててビビりました笑笑 主様もしやエスパーですかっ⁈ (2021年9月29日 0時) (レス) id: 3f75853613 (このIDを非表示/違反報告)
プリン。(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!ほんっとにめちゃくちゃ面白かったです!!!語彙がなくて表せませんが!これからも主様の活動応援します!! (2021年9月7日 14時) (レス) id: cf40087a4e (このIDを非表示/違反報告)
すん - 長文になってしまうので、こちらに書き込むのも憚られました。ぜひ感想を送らせていただきたいので、お手を煩わせてしまい申し訳ありませんが、ご検討よろしくお願いいたしますm(__)m (2021年9月6日 22時) (レス) id: 23ad842a68 (このIDを非表示/違反報告)
すん - ぽぷら様、いつも作品読ませていただいおります!本日も更新ありがとうございます^^ 突然で申し訳ないのですが、マシュマロの設定を一度誰でも設定にしていただく事は可能でしょうか…以前からフォローさせて頂いているのですが、何かの不具合か何度試しても送れず… (2021年9月6日 22時) (レス) id: 23ad842a68 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年8月27日 0時