なんで？ ページ15
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「あっ…Aちゃん！分かる？」
目覚めたらそこはしばらくぶりの事務所だった。それは分かった。ただ、何が起こってなぜ私がここにいるのかが全く思い出せない。目を開けただけで動かしてもないのに体が重く感じて。
そして、何にも思い出せないのに頭の中に浮かんできたのが
「なんで…？」
目覚めたくなかった、ずっと眠っていたかった。そんな気持ち。なぜかは分からないけど目を開けたくなくて、明るいこの空間が見えていることに悲しくなった。
「Aちゃん…？ねぇどうしたの……分かる？俺だよ、俺の事見える？俺の声聞こえる？」
「あべ、さ…？」
「うん、そう。俺だよ…？」
阿部さんが心配そうに私を見ていた。どうやら阿部さん以外の人はいないみたいで、事務所内は静まり返っている。
「…はぁ…もう…心配した……」
阿部さんは覆いかぶさるようにソファに寝ている私に抱き着いた。その感覚で少しだけ思い出したのは女の人の手元でキラリと光る刃物。
「もう…こんなやつれて……連絡してもなんもないし……何してたの、どこにいたの……」
ぎゅーっとしがみつくように私を抱きしめる阿部さんは辛そうだった。何でそんなに必死なのだろうか。何でそんなに私を心配するのだろうか。
なぜかそう思うんだ。
だって私だよ、私なんかに。そんな思いばかりが浮かんでくる。
「なんで…？」
何もかもが分からない。私って何なんだっけ。
「Aちゃん…」
切ないような悲しいようなそんな顔で私を見つめる彼。そんな顔しないでほしい、私の事なんか気にしないでほしい。ふわっと優しく笑う阿部さんの笑顔が思い浮かんで、あの笑顔でいてほしいと。
私がいたらこんな悲しい顔をする。
私が…そうさせている？
「違うよ、Aちゃんと会えて凄く安心してるの。今そばにAちゃんがいることが嬉しいの。でもめちゃくちゃ心配したの。ずっと顔が見たかった。ごめんね、悲しい顔してるのはそのせい。俺Aちゃんがいないと笑えないよ…？ごめん…勝手に読んだ……」
今にも泣きそうな表情で私に語り掛ける彼。その声は酷く悲しそうだったけど、じわじわと自分の中で安心感が広がっていくような気がした。
断片的に所々記憶が戻ってきていた。この声をずっと求めてたのかもしれないと思った。
これは記憶？今の気持ち？
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お風呂場の狸(プロフ) - はじめまして、こんばんは。一気読みしました。100億万回☆5押したいですし、もう、なんというか、本当に最高のお話でした。ここ数日の私の生き甲斐でした。本当にありがとうございました！面白かったです。 (2021年11月16日 19時) (
レス) @page49 id: 0d3b8981e3 (このIDを非表示/違反報告)
こっしー(プロフ) - こんばんは！S1をお迎えに行ったのですが、このお話の続きって？！ってなるくらい似ててビビりました笑笑 主様もしやエスパーですかっ⁈ (2021年9月29日 0時) (レス) id: 3f75853613 (このIDを非表示/違反報告)
プリン。(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！ほんっとにめちゃくちゃ面白かったです！！！語彙がなくて表せませんが！これからも主様の活動応援します！！ (2021年9月7日 14時) (レス) id: cf40087a4e (このIDを非表示/違反報告)
すん - 長文になってしまうので、こちらに書き込むのも憚られました。ぜひ感想を送らせていただきたいので、お手を煩わせてしまい申し訳ありませんが、ご検討よろしくお願いいたしますm(__)m (2021年9月6日 22時) (レス) id: 23ad842a68 (このIDを非表示/違反報告)
すん - ぽぷら様、いつも作品読ませていただいおります！本日も更新ありがとうございます^^ 突然で申し訳ないのですが、マシュマロの設定を一度誰でも設定にしていただく事は可能でしょうか…以前からフォローさせて頂いているのですが、何かの不具合か何度試しても送れず… (2021年9月6日 22時) (レス) id: 23ad842a68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2021年8月27日 0時
