ようこそ、ご相談ですか？3

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佐久間さんの行動と心の声が一致してないのが今更おかしくなってくる。それで思わず笑ってしまったらそれも演技だと思われたらしく


(ねぇAちゃん本当に初めて？)


何故か疑われてしまう。

何もかも初めてですよ、なんて思いながらオレンジ色のスコーピオンを一口含んだ。すると確かに甘さはあるけど後からアルコールの強い香りが鼻に抜ける。

流石に飲みやすいお言っても私にとってはがっつりアルコールだったみたい。独特の苦味が喉に残って少し顔を顰めた。

すっとそのグラスを返すと佐久間さんはちょっとおかしそうに笑ってる。


(ほーら、だからやめときなって言ったでしょー？)


お口直しで自分のカシスソーダをちびちび飲む私を見て何だか楽しそうに笑ってる。それは演技なのか、マジのやつなのか。


そんな恋人？というより何だかイケナイ関係っぽさがあるごっこ遊びをしているうちに入口が開く音がして。佐久間さんが顔を動かさずに目線だけを向けたと思ったら目を合わせて合図をしてくる。


(男一人)


こくっと小さく頷いて、私もカクテルを飲んでいるふりをしながらその男をこっそりと視界に入れる。



「いらっしゃいませ」

「スティンガーを一つ」

「お食事は？」

「要らないよ」


立ったままそう注文する男。それを受けてバーテンダーは手慣れた手つきでカクテルを作り、差し出すと同時に小さな紙切れを渡す。

グラスと一緒にそれを受け取った男は席に座らずに、奥まで進むとそこにある扉を開けて中に入っていった。



(心ん中でなんか言ってた？)


佐久間さんにそう聞かれ、特に何も聞こえなかったので小さく首を振る。


「マスター、トイレはどこですか？」

「カウンターを右に曲がるとございます」

「ありがとう」


(ちょっと見てくんね、すぐ戻ってくるから)


佐久間さんは安心させるようにいつもの優しい笑顔を見せながら私の頭を撫でた。そして立ち上がってさっきの男が向かった扉へ。




「お客様、2杯目はいかがなさいますか？」


私のグラスが空になっていたからか、バーテンダーがそう声をかける。


「……お任せで」


聞かれたってカクテルの名前なんて知らない。弱いって佐久間さんが言ってくれたから強いのは出さないだろうと、私は小さくそう呟いた。

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