ようこそ、ご相談ですか？3

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「どうぞ、ちょっと崩れちゃったんですけど…」

「ありがとう。綺麗だね、バラかな？」

「あ！わかりますか！よかったぁ」


私たちのそんな会話を聞いて隣の岩本さんがなになに、とカップを覗いた。


「え、すげえサービス。いいな」

「飲みますか？」

「いいの？俺には何描いてくれる？」

「あはは、あんま期待はしないでください。笑」


ご注文が入った。岩本さんかぁ、何描こうと思いながらデスクに自分の分を置く。それを見た佐久間さんがえー！俺も俺も！と言うので佐久間さんはわんちゃんかなぁなんて。この人私のことペットみたいに撫で回すけど本人だってわんちゃんみたいだもん。

了解ですと給湯室に戻って置いたままの阿部さんのカップを手に取った。割と上手くかけた猫ちゃんが浮かんでる。


「どうぞ」

「ん？……わ、可愛い。俺のも淹れてくれたの？」

「宮舘さんが阿部さんのも淹れてって」

「えー？笑 ふふ、ありがと。猫は意味あるの？」

「あーなんか上手く描けそうだなぁって…笑」

「上手ー、飲むのもったいないなぁ」


いつも通り優しく笑ってくれた。よかった、意外と気にしてないのかも。少しホッとして岩本さんと佐久間さんのを作りに行こうとすると、また少し聞きづらいけど頭に声が流れ込んできて。


(なん…あ…た？)


なんかあった、かな。やはりノイズが入って聞き取りにくい。何故だろうか、もう少しで聞き取れないレベルのそれに焦りを覚える。


(え？…何かって？)


振り返って阿部さんを見て、それに何事もないように返す私。すると彼は優しく笑って


(……ううん、な…も…よ)


きっとなんでもないよって言ったんだと思う。私が淹れたカフェオレを口に運びながらまたパソコンに目を落とした。


(やっべ、ここミスってたぁ)

(ねんむー)

(今日A送った後ジム行くかぁ)

(あー今日帰ったらハードディスク整理しなきゃ)


皆さん暇なようで今日は心の独り言も多いみたい。そう、阿部さん以外の声はいつも通りはっきりと聞こえるんだ。

何でだろう。蓮くんもだけど何で阿部さんだけ…？


1人悶々と考えながら佐久間さんのにわんちゃんを、岩本さんにはダンベルの絵を描いた。

ダンベルの絵が浮かぶカップ……何かシュール。



「Aーおれもー……」


ずっと首をカクカクさせながらうたた寝していた渡辺さんからの注文が入る。眠気覚ましにコーヒー濃いめにしておこう。

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