ようこそ、ご相談ですか？3

飼い主との店番 ページ30

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「ん、おいしー」

「それなんですか？」

「しろくま」

「ホワイトチョコ？」

「うん。しろくまって最強なんだよー」



水族館で買ったお土産のクッキーを佐久間さんがもぐもぐしている。動物ごとに味が違うらしく、佐久間さんが食べてるしろくまクッキーはホワイトチョコがコーティングされていた。


「お土産ありがとー」

「はい、それはいいんですけど。佐久間さんもっと広くソファ使いましょ」



佐久間さんと2人で店番中。暇なので今朝深澤さんに託されたティッシュに広告を入れる作業をしていた。ローテーブルに広告とティッシュを並べてせっせと入れてるんだけど何故か佐久間さんが私にピッタリとくっついている。


「いやーなんか、Aちゃんがいなくなっちゃったら嫌だなぁって思って」

「どういうことですか」

「……怖くなってない？」



佐久間さんはいつものように私の頭に手を乗せる。ただ少しだけ遠慮がちに、でも優しくゆっくりと撫でられて。


「1人にしちゃってあんな思いさせてさ、この仕事続けるの怖くなってないかなって」


不安そうに私の顔を覗き込む。いつもの元気な佐久間さんはいなくて、ちょっぴり悲しそうなそんな顔。


「ふふっ」

「えっ、何で笑うの！」

「佐久間さん、阿部さんと全く同じ事言ってますよ。笑」


そう、私にとってはこの質問は2回目なのだ。2人して同じ心配をしてくれたんだなぁとちょっと申し訳なくなると同時に、2人の以心伝心具合がすごくて笑ってしまった。佐久間さんが読めなくても阿部さんとの息はぴったりだ。


「阿部さんにも言いましたけど探偵するの嫌になってなんかないですよ。皆さんが優しくて、ここにいるとすごく居心地がいいから辞めたくないです。だからお仕事ももっと頑張りたいし、怖いことがあってもこの前みたいに佐久間さんや皆さんが助けてくれるから怖くありません」


しっかりと目を合わせて笑顔でそう言うと、佐久間さんは少し目を丸くした後嬉しそうにニコッと笑っていつものように私に抱きついてきた。


「にゃは、Aちゃんほんっといい子だね〜！偉いね〜！よしよし今日はいっぱい褒めてあげる〜！！」


だから何を褒めるんだって。ただ広告ティッシュ作ってるだけなのに。

何回目かも分からない佐久間さんの飼い主化。ただ何回も思うけど嫌じゃない。佐久間さんにこうされるとすーっと自分の中の何か悪いものが溶けてくようで。

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