出会いの場所で ページ21
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「Aちゃーん、起きて。ついたよ」
阿部さんに肩を叩かれ目を覚ました。もう時刻はド深夜で、岩本さんが送っていくと車を走らせてくれていた。
気づかないうちに私は眠ってしまったらしい。車ならそんなにかからない距離だろうに、入眠がずいぶん早かったこと。
「照、俺もここでいいや。Aちゃん送ってく」
「そう?阿部んちまでちょっと歩くよ?」
「大丈夫、事務所から比べたら全然」
「了解。Aー気をつけて帰れよー」
まだ少しぼーっとしている中、岩本さんが私の事を呼んだのだけが聞き取れてとっさにありがとうございますと返す。それが思ったより言えてなかったみたいで、岩本さんは危なっかしいなぁと少し笑った。
「だからあの時ここにいたんだね。今日はあそこに誰が隠れてるかなぁ。笑」
「……やめて下さいよ」
家どこ?と聞かれて、説明が難しいので私が皆さんと出会ったあの公園に向かってくださいと言った。あの頃咲いていた桜はもう完全に葉っぱになっている。
「ふふ、冗談冗談。ちょっと休んでこっか、もうちょい目覚めてから歩こうね」
まだ少し寝ぼけてる私を連れて、阿部さんはあの時のベンチに腰掛けた。
「ここよく来るの?」
「はい、大学の時からよくここに座ってぼーっとしてました。夜の公園は人がいなくて何も聞こえないから…」
「そっかぁ、そんな時に変な男3人組が現れたわけね。笑」
「あの時は…変でしたね、確実に」
「今は?」
「いい意味で変です」
「なんだそれ。笑」
私は酔っていたらしい。いや、今もだろうか。お酒を飲んで泣きじゃくってそれだけ聞くとかなりめんどくさい人だ。夜の公園で心地よい風に吹かれながら、まだ少し火照ってるような気がするほっぺをつねる。
「何してんの。笑」
「酔い覚ましです」
「何飲んだの?」
「なんだっけ、カシスソーダと…あとアキダクト?って言ってました。もう飲みたくないです」
見た目の綺麗さ、可愛さに騙されちゃいけない。
そんな悪女みたいなカクテルの教訓は深く私の心に刻まれた。
「1人でやけ酒とかしちゃダメだからね」
「しないですよ」
「飲みたくなったら俺呼びな」
「阿部さん強いんですか?」
「あまり好んでは飲まない」
爽やかに笑って言うけど強そうには見えない。いや、悪い意味じゃなくてこの柔らかい雰囲気でめちゃくちゃ強い人だったらこれまた凄いギャップだなと思う。
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ぽぷら(プロフ) - ななさん» コメントありがとうございます!うふふ、色々考えてみて下さい。笑 ぜひお楽しみいただければ! (2021年8月25日 17時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - きさん» はじめまして!コメントありがとうございます!えぇ!一気に!とても嬉しいです…!引き続き更新していきますのでぜひ楽しんでいただけると嬉しいです(^^)ありゃ!だめでしたか!笑 いつか読めるようになるまで練習ですね(?) (2021年8月25日 17時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - ドキドキ。二人で喫茶店に行ったタイミングでの訪問なんて、、読めない理由も含めていろいろ考えちゃいます(笑) (2021年8月25日 4時) (レス) id: 978894b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - ぽぷらさん初めまして!ふらっとタイトルだけみて立ち寄ったのですが、最新話まで一気に読んでしまいました、、!これからの展開すごくワクワクしてます!私も人の心読めないかなって思ってお母さん見たけどだめでした(?)マロ送れなかったのでここで失礼します! (2021年8月24日 21時) (レス) id: 173fd97868 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - やこぴよ、さん» コメントありがとうございます!幸せホルモン!私のお話で満たしてくださったのなら本当に嬉しいですー!きっと2人でニコニコしながらティッシュ詰めたことでしょう(笑)お気遣いもありがとうございます! (2021年8月23日 20時) (レス) id: 786016fd9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年8月14日 1時