音と笑顔の魔法使い

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楽しい時間は本当にあっという間だった。色んな乗り物に乗ったり、可愛い食べ物を食べたり、素敵な景色をバックに写真を撮ったり。

"ゲスト"として一日中パークを楽しんだ私たちは普段働いている場所とは思えないくらいにはしゃいでいて。きっと勤務中より体力使ってるね〜なんて。


「今度はあっちの方も行きたいね〜あまり詳しくないからな〜」

「そうだね、そういえばずっと行ってないや」


もう一つの方のパーク。普段働いてるこことは違って新しい景色がたくさん見れるかも。そんな景色をまた佐久間くんと見たいなって自然と思っていた。



「……佐久間くん」

「ん？」

「私あれ乗りたい」



街中を流れる運河に浮かぶゴンドラ。

夜も更けてキラキラと輝きだしたこの時間にずっと乗りたいと思いながら勤務していた。もちろん乗るときは大切だと心から思える人とって。



「行こう！俺も乗りたい！」



佐久間くんはにっこり笑って答えてくれた。イタリアの街並みを眺めながら歩くこの時間。キャストとして何回も歩いているけれど、何だか今日は気持ちが違う。


「いつも見てる景色なのに何故か特別に思えてくるな、何でだろうね」


佐久間くんも景色を見上げながら静かにそう言った。



ゴンドラのスタンバイエリアに着くとキャストさんが誘導してくれる。程なくして順番が回ってきて、お待たせしました〜いってらっしゃいと声をかかられて進むと

そこにはまた見慣れたゴンドリエさんがいた。



「ふっか！」

「あらお嬢さん偶然だね。特別に特等席に案内してあげようじゃない。俺の顔が一番見える貴重な席だよ〜」

「ごめんね、"フッカさん"の顔より景色見たい」



今日も絶好調な"ゴンドリエのフッカさん"だった。今日はタイミングが凄くいいな。アベさんともフッカさんとも会えるだなんて。



「ふふ、お友達イカしてんね？笑」

「あんま褒めると調子乗っちゃうから。笑」



そんなフッカさんのゴンドラに乗る。いつか乗りたいと思っててやっと叶ったな。同僚が活躍する場所に今日で２つも巡り合えた。



「それでは皆さんお待たせしましたー！参りましょう！ Va bene(ヴァベーネ)？」

「Partenza(パルテンツァ)！」

「「出航！！」」



フッカさんと舵取りのポッパさんの合図でゴンドラがゆっくりと動き出す。

初めてちゃんと見るゴンドリエの同僚。
本人には絶対言わないけどその姿はとってもかっこよかった。

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