音と笑顔の魔法使い

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「やっほ」

「あー、ふっか。休憩？」

「うん、久々だね被んの。てか顔真っ赤じゃん、大丈夫？」

「夏のゲスコンはみんなこうだよ。それにふっかもじゃん。笑」

「水に近いからーとか思ったけど流石にあちい。早く夜になんないかなぁ」



休憩に入って食堂に向かっていると声をかけてきたのは白いシャツに麦わら帽子を首から背中に下げてる人。腰には赤と黄色と黒のストライプの布を巻き付けていて、この人の腰の細さが伺える。



「さっきさー、フッカさんサインください！って女の子に言われちゃった。俺も名物キャストの仲間入りじゃね？」

「はいはい」

「おいおいイケメンゴンドリエが隣にいるってのに冷たいな」

「どっちかというと阿部ちゃんの方が好み」

「リアルじゃねーかヘコむぞ」

「ふっかのゴンドラにはいつか乗ってみたいよ」

「惚れるよ？」

「それはない」



こんなことを話しながら2人で食堂へと入った。色んなコスチュームを着たキャストが沢山。炎天下の中笑顔を絶やさず動き回ってるキャストはやっぱり裏だとみんなぐったりしている。



「阿部ちゃん今日いんの？」

「うん、出勤同じタイミングだった」

「あの長台詞言ってんでしょ？すげーよなぁ」

「でもふっかもずっと喋ってるでしょ？」

「まぁでも難しい言葉とかないし。てかゲスコンこそ大変でしょ？対応力すげーじゃん」

「おすすめ聞かれたら2人のとこ良く案内してるよ」

「さすがじゃん」



ふっかと阿部ちゃんは同じ時期にキャストになって研修が一緒だったいわば同期。働いてる場所は全然違うし勤務中に一緒になることもほぼないけどなぜか仲良くなった2人だった。



「そういえばさっき少し雨降ってたけどゴンドラ大丈夫だったの？」

「あぁ、へーきへーき。あのくらいならね。むしろちょっと涼しくなってよくなかった？」

「それは確かに。カストさんが喜ぶだろうね、あっついからすぐ地面乾くだろうし」

「俺も箒で絵描いてみたいなー」



退勤のタイミングが一緒だったりするとご飯に行ったりするし、パーク内で会えば毎回手を振ったりする仲だ。



「なんかふっかが書いたら子供とか泣いちゃいそう。多分阿部ちゃんの方ができるな」

「お前の阿部ちゃん贔屓なんなの」

「贔屓も何も。バースデーシールに描いてた絵が上手だったから」

「まじ？」

「私には敵わないけどねー」

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