星のバレッタ

星が好き ページ2

・


「Aっていつもそのピン？付けてるよね」


大学の講義中、隣に座る友達にそんな事を言われた。


「あぁ、これね。バレッタだよ」

「あー聞いたことある」

「いつだっけな、高校生の時に何気なく買ってさ。ピンとかよりも大きいし髪の毛落ちてこないから気に入って邪魔な時とかつい付けちゃうんだよね」



講義中、課題中、バイト中。何かを書いてる時や作業している時。何気なく髪の毛を耳にかけるのは女子ならあるあるを超えて日常レベルだと思う。

だいたい私は左の髪の毛を耳にかけて、そこに星のバレッタをつけている。

なぜ左なのかって聞かれたらそれは癖でしかないんだけど。もしかしたら左にいつも彼がいたからだったりして、なんて。



「Aって星好きだよねぇ」



その友達の声にはっとする。
呼び捨てではなかったけれど同じ言葉。高校の時、授業が始まる間の休憩中に言われたこと。確か数学の前だった。


「うん、なんか昔からね。手に取っちゃうというか」

「ずっと付けてるネックレスも星のチャームだし、ペンケースのワンポイントも」

「あはは、そんなに集まってたんだ。無意識だ」




幼い頃、幼稚園のお絵かきの時間で女の子たちがハートを沢山描いて可愛くしてる中でも私は星をたくさん描いていた。

その他にも晴れた日の景色を描きましょう！って先生が言うものなら。お日様が出ている青空の絵が並ぶ中で、私は星が沢山輝いている夜空を描いた。


感性としか言いようがないんだけど
昔から私は星が好き。

大学生になってアクセサリーを買うようになれば星、月、星座などのモチーフを無意識で選んでしまう。

この星のバレッタだってそう。



「ねぇ、金曜に合コンあるから開けといてね」

「またぁ？」

「イケメン揃いらしい！今度こそいい男見つけるんだから！」

「って言って何回目よ…数合わせ要員も辛いんだって」

「Aだって彼氏作るチャンスでしょ！やっぱ学生のうちに作っとかないと！」

「興味ないし……」


この子、別に悪い子ではないんだけど……
とにかく恋愛がしたいらしくて、他学部のお友達と合コンをセッティングしては数合わせで私を連れて行く。

私は大学生特有の飲み会ノリとか、ワイワイする感じも苦手だし。男性経験もないからひたすらに数合わせで連れてこられましたオーラを出して関わらないようにする。

それに気づいてるのか気づいてないのか。私の友達は懲りずに私を連れて行くのだ。

・→←Prologue

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す