ようこそ、ご相談ですか？

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「確かに在学中に少し聞いたことがあります。理工学部の井上教授は就活サポートが手厚いと。後輩もそれが決め手で入ったらしいです、教授もよくサポートして下さいましたもんね」


100%のお世辞を笑顔でかければ教授から嫉妬というか、イライラしたような雰囲気が伝わる。


(どうせコネかなんか使ってるんだろ。しょっちゅう遊び歩いてる奴に就活サポートなんかできるわけがない)


そんな声が聞こえて、夜の街に出歩いているのは本当なのかもしれないと悟った。自分よりいい所に就職させてるから嫉妬しているのだろうか。きっと仲良くなんかはないんだろう。


同じ教授という立場の人が言っているならそこまで噂が出回ってるという事で、そうなると信憑性は高い。


「それより、君の就職先は？」


少しは役に立てたかもしれない。そう思って教学の方をチラリと見ると、あっさりと話題を戻されてしまった。
何て答えようかなと思ってこの間蓮くんに言ったことを思い出す。


「あー、事務系です」

「事務にも色々あるだろう」


探偵ですなんて言うと変な顔されるだろうし、第一大学内では探偵って言っちゃだめだよってさっき佐久間さんに言われた。

ただ自分のゼミ生の就職先には厳しいこの教授、でたらめを言っても追求されそうだし…と焦りの気持ちが広がる。



「わ！Aせーんぱーい！何でいるんすか！久しぶりっすね！！」

「え」


どうしようかと頭をフル回転させていると、何やら大きい声で佐久間さんがやってきた。その後ろから阿部さんも。

えっと？これは？



「もー先輩卒業しちゃってサークル大変なんすから！」

「あはは、A先輩お久しぶりです」


(Aちゃん、俺らに合わせて。今俺らAちゃんの後輩)


一瞬のアイコンタクトと同時に阿部さんの声が聞こえてきてハッとする。2人は私の後輩らしい。



「あ、さ、佐久間くん！阿部くん！久しぶり！元気？」

「元気っすよー！でもA先輩に会えてもっと元気になりましたわ！」

「あ、すみません。お取込み中でした？」


阿部さんが教授に目配せ。すると教授は何かに圧倒されたのか一歩後ろに下がる。


「あぁ、じゃあ水瀬。私はこれで」

「あ、はい。ありがとうございました」


佐久間さんの勢いに若干引いた様子の教授が去っていった。確かにあの勢いでこられたら誰だって身を引くわ。

佐久間さんの元気が効いた。


これも探偵業、か。

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