第二章【過去】 ページ7
振り返っても、隣にも、誰もいない。
少し手を伸ばせばそこにいたはずの姿はない。
いつも二人で歩いた道を今、一人で歩く。
寂しさは倍増して心はどんよりと暗くなる。
なのに、立ち止まり振り返ってしまう。
やっぱり俺は一人だった。
まだいのちゃんと付き合う前、出会った頃を思い出す。
「……」
あのとき俺には別の恋人がいたんだ＿＿＿＿＿＿＿＿
「大ちゃん、こっち向いて？」
ｶｼｬｯ
彼の名前は中島裕翔。
かっこよくて優しくて真面目で。
「裕翔も撮ってあげる！」
俺たちはとても仲が良かった。
「えー、俺はいいよ(笑)」
「じゃあ、一緒に撮ろ」
「うん」
それなのに、何故別れたのか……
それは、……
彼が病気で、
この世からいなくなってしまったから。
俺はその頃、毎日泣いていた。
どんなに泣いても涙は止まらない。
「ゆうとっ、会いたい…会いたい……」
そのとき励ましてくれたのがいのちゃんだった。
「大ちゃん……」
いのちゃんは裕翔の友達で、自分がいなくなったら俺のことを頼む、と言っていたらしい。
「最近忘れ物が多いんだよ〜困っちゃうね(笑)
そーそー、今俺いくつだっけ？」
友達だったんだ。いのちゃんも悲しいはず。
それでも、冗談を言って笑わせようとしてくれた。
「……18、でしょ……」
「あ、そうだったかも」
ぽっかりと空いた穴に優しく何かが流れていく感覚。
そうやって、やっと少しずつ笑えるようになった。
いのちゃんの前では…
毎日一緒にいるうちに彼を好きになっていく自分。
でも、それに必死で気づかないフリをしていた。
俺には裕翔がいる。
他の誰も好きになっちゃいけない。
それは、なってしまう自分へ言い聞かせた言葉。
自分の重いと現実に揺れる中、
「大事な話があるんだ」
見たことのない真剣な顔でいのちゃんに呼び出された。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やぶありLOVE(プロフ) - このお話のその後とか、何年後がみたいです！ (2019年10月26日 13時) (
レス) id: 08447510d0 (このIDを非表示/違反報告)
綾李里(プロフ) - 藍那さん» 藍那さん、入り込んでいただけましたか？！嬉しいです(TT)私も本当はハッピーエンドにしたかったので続きが出来たときにはまた是非遊びに来てください！ (2019年6月5日 9時) (レス) id: de124f99ac (このIDを非表示/違反報告)
綾李里(プロフ) - ムニムニグミさん» ムニムニグミさん、感動だなんて恐れ多いです(T-T)続きが出来たときにはまた是非遊びに来てください！ (2019年6月5日 9時) (レス) id: de124f99ac (このIDを非表示/違反報告)
綾李里(プロフ) - みるくちぇりーさん» みるくちぇりーさん、楽しんでいただけていたら幸いです！続きが出来たときにはまた是非遊びに来てください！ (2019年6月5日 9時) (レス) id: de124f99ac (このIDを非表示/違反報告)
綾李里(プロフ) - ミーオムさん» ミーオムさん、ありがとうございます！続きも書けるように頑張ります！ (2019年6月5日 9時) (レス) id: de124f99ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：綾李里 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/a_cat_hp/
作成日時：2017年12月31日 8時
