無自覚イケメンは救済する【東リベ】

３７話 ページ40

三ツ谷隆 視点





機嫌良さそうに笑うAくんと夕日と重なり、その眩しさに思わず目を眇めた。


ルナとマナと手を繋いで年相応に…いや、それよりも幾分か幼い様子だ。大人びた見た目とは反対の無邪気な笑顔に心がゆるく締め付けられる。





『隆ー？早く来いよ、置いてっちまうぞ』





名前を呼ばれるのがどうしようもなく嬉しかった。駆け足で彼に近づく、Aくんは目細めた笑う。




男にこんなことを言うのもあれだけど、綺麗な人だ。



さらさら風に揺れる黒髪も、アメジストみたいな紫の瞳も、少し荒い口調も全てが彼の魅力だった。マイキーとはまた違った人を惹きつける力を、Aくんは持っていた。





「送ってくれてホントありがとうございます。家反対方向なのに…」



『いーんだよ、家帰ったってやることねぇからさ』





にっかり笑う夕日に照らされたAくん。この人はいつも綺麗だった。





『あんま無理すんなよ、偶には甘えとけ。んじゃな、また今度』





ひらひら手を振って去っていく。余韻に浸るようにその背中が見えなくなるまで見つめた。



見事に心を鷲掴みにされてしまった。あの人から、もう俺は抜け出せそうにない。

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