{33} ページ33
・
「手前二人、そこをどけ。後ろの刑事は入り口の扉を閉めて鍵をかけろ。」
新郎新婦を護るように前に出ていた佐藤さんと高木さんは、彼女の指示通り端に避け、目暮警部も扉を閉めた。
一歩、また一歩と近付いてくる彼女等は、祭壇の手前で立ち止まる。
「両手をあげろ。プラーミャ」
彼女は確かに、村中元警視正に向けてそう告げたのだった。
「あ、あなたが犯人っ…!?」
クリスティーヌさんは顔を真っ青にして、村中元警視正から一歩二歩と距離を取る。
「違う!!!何故私が自分自身に脅迫状を…」
「動くな。新郎新婦両方共だ、早く両手をあげるんだ」
大人しく両手をあげた村中元警視正に対し、クリスティーヌさんは辛そうな表情をして俯いたまま動かなかった。
「…どうした花嫁。お前も両手をあげるんだ。」
「待ってくれ!彼女は3年前に負った交通事故の後遺症で右肩が上がらないんだ!!」
「交通事故?三年前、日本の刑事に銃で撃たれたせいで右腕が上がらないんだろう?なぁ、クリスティーヌ・リシャール。…いや、プラーミャ!!」
そう告げられたクリスティーヌさんは、戸惑いながら「私が犯人!?」と声を上げる。
「確かに、プラーミャの右肩に銃弾が埋め込まれているのは事実です。取り除くと爆弾の制作に支障が出る為、そのままにしてるのだとか。」
私が淡々と言葉を並べると、「いい加減にしてくれ!!!!」と村中元警視正はクリスティーヌさんを庇うように声を上げた。
「何故彼女が犯人だと決めつける!!!」
その言葉に、エレニカ・ラブレンチェワは黒い棒…基金属探知機を投げ付ける。
「その刑事が言ったように、プラーミャの肩プリチョウには、弾丸プーリャが埋まっている。近付ければ反応するはずだ。」
「待ってください!手術で金属ボルトが入っているんです。だからっ」
困り眉で告げたクリスティーヌさんの台詞に、佐藤さんが「そういえば」と話を割った。
「貴方さっき控室で、二人殺したと言ったわね。脱走した連続爆破犯の殺害…その件は公式に発表されて居ないのにどうして」
「君までなんだ!!!俺達の結婚式を万全の警備で守ってくれるんじゃなかったのか!!?それなのに、こんなに簡単に侵入を許し、犯人扱いまでして!!結婚式が滅茶苦茶だ!!!…すまないクリスティーヌ…。折角の晴れ舞台が…」
901人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:づきづき | 作成日時:2023年4月8日 12時