任務48 ページ3
貴方サイド
『だんだん波が落ち着いて来ましたね……』
「ああ……、すげぇ波だったな」
やっぱり自転車で来るんじゃなかった。
『エニエス・ロビーまで後どれくらいですか？』
「数時間ってとこだな」
『まだまだですね…』
「そうだ、Aちゃんがガープさんに出会う前のことを聞かせてくれよ」
『え……』
突然のことで一瞬思考が止まった。
クザンさんは変わらず前を向いて漕ぎ続けていて、表情を見ることができない。
だから、その質問の意図を読み取ることもできない。
『…………今まであえて聞かないでいてくれてるのかと思ってました』
「…話したくなさそうだったしな」
『じゃあ…なんで今聞くんですか？』
「もう長い付き合いだし、今なら話してくれるかなと思っただけだ」
そう言ったクザンはどこか寂しそうだった。
そんな風に言われたら話すしかなくなるじゃない…。
『……じゃあ、さらっとで良いですか？あまり思い出したくないので』
「…それでもいい」
『私は…生まれた時から裕福で、なに不自由ない暮らしをしていました。父は権力者で、その力で他の人々を苦しめていたんです』
クザンさんは黙って私の話を聞いていた。
『……父はよくどれいを買っては痛めつけていました。私はそんな大人にはなりたくなくて、でも逃げ出すこともできなかったんです』
何もできず、私もあのような大人になってしまうのではないかとただ不安な日々のことを思い出す。
『でもそんなある日、ある人が来て、その人に助けを求めたら、逃げ出させてくれたんです』
あの人と会って私は変われた。
『そして、その人に勧められて東の海に行きました』
「なんというか…小さい頃から、変わらねェんだな」
『そうですか……？例えばどんなところが？』
「無茶するところ」
『あー……』
それは自分でも自覚している。
『いつも迷惑かけてすみません…』
何度無茶をして、命を救われたか分からない。
「なにも迷惑だとは思ってないが…。むしろ今は俺の方が助けられてる」
まぁ…それもそうかもしれないけど。
「とはいえ……Aちゃん、立派な大人になったな」
そう言われたのが嬉しかった。
私はあの人たちとは、違う…そう言われたような気がした。
ちょっと目がしらが熱くなってきた。
「……泣き虫なのも昔からか？」
『はは……そうかもしれませんね』
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いろぺん(プロフ) - 名無しのモブさん» ご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2019年10月26日 16時) (
レス) id: 269c7cd496 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのモブ(プロフ) - 黄猿の一人称は“わっし”です (2019年10月26日 11時) (レス) id: 58863efb20 (このIDを非表示/違反報告)
いろぺん(プロフ) - 佰さん» ありがとうございます〜！！3の方あと少しで公開するのでもう少々お待ちください！ (2019年7月14日 10時) (レス) id: 94d43d5850 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - 凄い面白いです！主人公大好きです！これからも更新頑張ってください！ (2019年7月9日 23時) (レス) id: 12eab0778e (このIDを非表示/違反報告)
いろぺん(プロフ) - タヌポンさん» あああぁぁありがとうございます！亀さん更新ですが頑張ります！(コメ嬉しい…) (2019年4月15日 20時) (レス) id: cdf9f329bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いろぺん | 作成日時：2019年3月29日 13時
