第3話 ページ5
貴方サイド
「ダリア様、お食事です」
時計がないため正しい時間はわからないが、夕食の時間になったのだろう。
役人さんが食事を運んで来てくれた。
『ありがとうございます』
私は食事が1人分しか用意されていないことに気がついた。
まさかとは思うけど…。
『あの……魚人さんの食事は?』
役人さんは目を見開いた。
「そんなものはございません。あれは“どれい”ですから」
『それでは死んじゃうんじゃ…』
「魚人は我々と違って丈夫ですから大丈夫でしょう」
本気で言ってるの……?
「さあさあ召し上がってください!食事が冷めるといけません。朝食の際にお皿を回収しに参ります。では、ごゆっくり」
そう言われたが、食欲なんてものは失せてしまった。
役人さんがいなくなったのを確認してから私は魚人さんに声をかけた。
『あの……私ので良ければ食べませんか?』
返事はない。
そもそも私に背を向けて横になっているので、起きているのかもわからない。
私はお肉が乗ったお皿を魚人さんの牢屋の前まで滑らせた。
食べてくれるといいんだけど……。
私も残った食事に手をつけずにそのまま横になった。
こんな硬いところで寝るのは初めてだ。
薄暗いし、湿っている感じがするし、床は冷たい。
だけど、全てが整った私の部屋より何倍も居心地がいい。
***
窓から光が差し込んでいた。
朝になったみたいだ。
私は気づけば眠ってしまっていたらしい。
魚人さんの方に滑らせたお皿はというと、私の牢屋の前に戻っていた。
お肉に手がつけられた様子もない。
『お腹空いてないんですか…?』
魚人さんは昨日と変わらず背を向けていて、反応はない。
このまま反応しないつもりなのかな…?
私はあの魚人さんをあんな目に合わせた人の娘だし、やっぱり私も嫌われてるのかな…。
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作者名:いろぺん | 作成日時:2019年3月10日 11時