第19話 ページ21
貴方サイド
翌日、東の海行きの船があるという有人島の海岸まで連れてきてもらった。
「じゃあ……これで本当にさようならだ」
『タイガーさん、本当にありがとうございました！』
私は深く礼をした。
「気にするな」
タイガーさんは私の頭を撫でた。
そして、汽笛の音が聞こえた。
「出発の時間みたいだな。早くいくんだ」
『うん、最後にこれだけ！私、頑張って魚人島にも自力で行く…。そして、いつか、あなたに会いに行きます！その時は今度は私がタイガーさんを助けます！』
「ああ、その日を楽しみにしてるよ」
『うん！タイガーさん、またね！』
私は手を振りながら走って船に向かった。
＊＊＊
タイガーサイド
「来てくれて、ありがとうな。故郷まで頼む」
俺はジンベエが呼んでくれたサメに一声かけて上に乗った。
「あのガキ、一人で大丈夫なんですかい？」
ジンベエがあの子が走っていた方を見た。
「あの子ならきっと大丈夫だ、護身用に魚人空手も教えたしな」
「魚人空手を！？」
驚くのは無理もないな…。
「ああ、なかなか飲み込みが早くてな。普通の人間なら簡単に倒せるだろう」
「あの子本当に何者なんですか…？」
「……さァな。ジンベエ、あの子のことは他の奴らには言うなよ」
せっかく自由になれたんだ。
天竜人のことは忘れて、どこかで幸せに暮らして欲しい。
「……わかりやした」
また、会えるといいな…今度は、魚人島で。
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作者名：いろぺん | 作成日時：2019年3月10日 11時
